Turning Fate/The end for beginning



〜……のあとがき〜


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 約一ヶ月半の連載でしたが、読者の皆様、ご愛読ありがとうございました。
 久々のゲーム二次創作だったわけですが、まったくあとがきというものを書いていなかったのは各話ごとに言い訳がましい発言やネタばらしをするのはどうにも憚られたためでして。その分日記で……とか思いつつもあんま書いてなかった事に思い至り、まぁようやく完結したので、あとがきと多少のネタばらしをするかーってなことでして。

「今さらテメェみてぇな地蔵野郎が垂れ流す薄ギタネェ言い訳なんざ見たくもねぇよ死ねこのエロ地蔵!」と言う方は回避してください。

 それでは、よしなに。





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 本当に今さらですが、各話ごとに振り返ってみようかと思います。
 あくまで拙作での人物の在り方とかを語ってますので、「オフィシャルと違う」とか「俺が考えてるのと違う」というのは勘弁してくださいね。



 ■episode-01 〜謳歌日常〜

 Fate、桜ルートまで一通りプレイ終了したその日に書き上げましたね確か。話自体が浮かんだのはセイバールート終盤をプレイ中の時だったので、凛ルートと桜ルートプレイ中はずっと「さてどうしたものか」と考えながら設定部分を注意深く読んでいた気がします。
 ああ、それにしても設定部分はメモ録っておけば良かったなぁでもプレイ中に内容に読み入っちゃうとメモ録れないんだよなぁ、とか後々まで後悔するのは二次創作をする際いつものこと。
 で、そもそも一番最初に書きたいと思ったのはやはり『セイバー帰還』ものなんですよ。まぁアレですね。セイバーに萌えた者なら誰もが一度は夢見ちゃうドリーミング御都合展開アフターストーリーですね。書きたいっちゅーねん。ワシハッピーエンド大好きやっちゅーねん。御都合主義どんと来いやっちゅーねん。
 ……でも、でもですよ?

「未練なんてねーよ」

 そんなことをドキッパリ言われた日には、うっかり戻ってきたセイバーが泣いてしまうじゃないですか。泣きながらオレの胸へダイブなら兎も角、衛宮邸に帰ろうにも帰れず現代社会で路頭に迷うセイバーだなんてそんな悲しい展開はごめんです。
 ……ん? どっかでそんなギャグ見かけたような……?
 よって、一番書きたい話は丁度同人イベントのネタもFateでいこうと思っていたのでそっちに後回しすることにして、まずは『セイバーがいないセイバー空間でセイバーへの想いを確認するへっぽこ士郎とその仲間達』を書こうと思ったわけであります。
 ……でも士郎が登場するのって四話からなんですけどね。

 前述しましたが、ハッピーエンドが好きなんです。無闇にキャラを殺したりってのは、そういう内容の短編でなら兎も角長編ではやりたくない。
 だから最初は「なんでイリヤが死なないのか」から本編終了半年後の日常を書き始める必要があったわけで、第一話はああなりました。
 綺礼の所属は元々聖遺物回収を命とする特務局の末端らしいし、奴のことだから宗教関係なく利用できるものなら何でも隠匿とかしてるだろう→ならば凛はその中で利用できそうなものを勝手に横領するだろう、とこの辺は実にあっさりすんなりと展開が決定しました。内容的には、ギル用に生かし続けてた子供達、彼らを存命延命させるために用意されてたアイテムや技術だったと思ってください。
 魔晶石と聖石はオリジナル、後々への伏線。心霊医術を凛が行使する展開も最後への伏線です。
 やけにあっさりイリヤが助かった、と思われそうですけど、二人にとっては命懸けの術式なんです。でも、幼女が苦痛に喘ぐだけの数ヶ月間を長々描いても、それじゃ一部の趣味の人が悦ぶ医療モノSSになってしまうため簡単に済ませました。
 地味な一話ですね。でも、書きたい内容自体が地味なものだったので仕方なかったのです。今後も地味地味続きます。





 ■episode-02 〜腐蟲暗躍〜

 バグってハニー爺さん暗躍。
 凛と桜の話も外伝でその内書きたいなぁとか思ってたり。
 実際、桜には可哀想なことしました。書き込み少なすぎで。でもセイバールートや凛ルートアフターでの彼女の扱いはどうしても簡単なものになりがちだと思うんですよ。桜ルートなんかよりも彼女よっぽど扱い良いですから。出番無いけど。
 全部ぶちまけちゃった方が彼女的には楽なはずなんですよね。士郎も凛も、絶対に見捨てたりせずに助けてくれるだろうし、そんなことは桜自身が誰よりもよくわかってると思うんです。でも、だから言えない。言えなかった。
 恋する桜は切ないですね。先輩どいてそいつ殺せないですよ。ああ、あのタイトルは本当に素晴らしかったなぁ。絶対勝てねぇ。
 本音と真実隠したまま生きるのはどうかと〜ってのはそりゃ多少はあるんですが、桜に関してだけは隠すことで自分にとって最も大切なものを必死に守ろうとしてる姿勢があまりにも泣けるのでOK。というよりぶちまけられると強制的に別桜ルート突入というか、いいんだよそれが桜なんだよ!
 桜はそうやって士郎の心を守っているし、うちのイリヤは士郎と接する時はなるたけ無邪気に接することでやっぱり彼の心を守ってるんです。士郎は守られまくりなんですよ、無自覚に。畜生へっぽこめが。無論、藤ねぇや凛も守ってくれてるんですが、そのせいで奴は「未練なんて無い」とか言って調子こくことに。Turningは甘やかすのも大概にしなければいけませんねと言う話だったんですね実は。





 ■episode-03 〜姉妹の情景〜

 願いに関する桜の想い。この辺もラストへの伏線。わかりにくっ!
 引き続き桜なんですが、彼女は今とても幸せなんです。願ってもなかった幸福の中にいる。そりゃ士郎への失恋確定は悲しいし、故慎二や臓硯への暗い気持ちもあるわけですが、でもやっぱり幸福指数はメーター一杯一杯。
 姉のことをずっと遠くから見続けてきて、憧れて、憎み恨もうとしたけど出来なくて、それがようやく仲直りできて姉がどんなに自分を大切に想ってくれていたかという気持ちに触れて……
 桜ルート以外での桜の一番の幸せって、士郎と結ばれるよりもやっぱそこだと思うんですよ。だからもっと細かく書いてあげたかった。でもそこを細かく書きすぎると本筋からずれそうだったので……ごめんよ桜。ごめんよ桜スキーの皆さん。
 馬刺食べるので許してください。ボクは馬肉が大好きです。





 ■episode-04 〜食卓賛歌〜

 ようやく主人公登場。
 Turningでのイリヤはシリアスにお姉さん描写などが多いんですが、普段はこんな感じに無邪気にやってます。いい幼女ですね。幼女にしておくのが惜しい逸材です。ああ、イリヤの外見が18歳くらいだったらなぁ! なぁ!!
 藤岡弘探検隊に本気で見入る凛様。藤ねぇもですが、拙作の衛宮邸では探検モノや未確認物体・生物ものの番組が人気高いのです。いや、だってあいつらそういうの好きそうじゃありません?
 自分だって魔術とか使ってる不思議ワールドの住人のくせに、モケーレ・ムベンベやオゴポゴに胸ときめかせてる遠坂って素敵じゃないか! 「イギリスはネッシーを捕獲して隠匿してるのよ!」とか熱弁を振るう遠坂。わーお。Turn Fとはまた微妙に違う壊れ方なので注意。
 この時点での士郎のセイバーへの想い、奴はすっかり過去のモノにしようと目論んでいます。綺麗事で。カッコつけすぎ。
 さて。この四話のラストあたりから事態は急転。
 さぁ、ちょっとずつ盛り上がってきましたよ? 地味に。
 そういや藤ねぇって四話にしか顔出してないな……
 藤ねぇのことは任せたぜ、エロい人!





 ■episode-05 〜剣霊〜

 アサ地蔵先生登場。
 何故彼なのか? というのは、どうしても先生と士郎とを戦わせたかったから。互いに紛い物の剣同士、でも紛い物でも想いを貫き通せばそれは真実になる、そんな展開を書きたかったので先生にご登場願いました。
 元々がイレギュラーだったので、少ない無理で登場させることが可能だったのも美味しいです。他の英霊諸氏を出そうと思ったら、数倍の設定捏造が必要になっただろうから。
 型月は設定ありきな部分が大きいので、設定改変や捏造には必要以上に気を遣ってしまってる自分がいます。だって怖いんだもん。
 とは言え書きたい内容に沿っての必要な改変や捏造はある程度は容認して貰わないと二次創作なんて書けるはずないんですよね。結論としては「酷すぎなきゃいいじゃん」なワケですが、ラインを何処に引くかが難しい。
 そして一番難しいのが主人公の士郎です。
 五話は士郎が大ピンチのイリ凛コンビを救って次回に続くという王道的な引きでしたが、SSとしてはこの先がマジ苦難だったり。





 ■episode-06 〜Midnight battle〜

 士郎をメインに据えたバトル有りのシリアスを書く場合、何が一番困るかってそれはもう決まってます。士郎が弱いことです。
 特にセイバールート。弱い。マジ弱い。
 ここで「何言ってるんだ? 士郎には禁呪の固有結界があるんだぜ? どんなものだって投影出来るし動きや技術も模倣出来るんだから最強だべさ? ギルにだって勝ったしよ! 士郎最強!」と言える人は、もうここから先読まなくていいです。この若輩たるオレのあとがきなんて読んでも意味無いです。
 で、士郎。いや、そりゃ一般人と比べれば強いですよ? 少なくとも慎二よりは強い。でも、だからどうしたんだと。
 これがFateの二次創作である限り、士郎が戦う相手は一般人ではなく、ほとんどはまず間違いなくマスター&サーヴァントなワケで、へっぽこ士郎のオフィシャルな実力では勝てる相手なんているわけないんです。慎二以外。
 士郎が勝つために必要な要素は、まず主人公補正。そして敵の油断スキル。さらには腕とか鞘とか移植されたり、もしくはとんでもないものを投影する以外には勝機なんてこれっぽっちもありません。
 主人公補正は兎も角、このSSでの敵はアサシン先生。油断した挙げ句に士郎如きにポシャッとやられる彼の姿など想像できません。無理。絶対無理。
 もっともオレが最初から描きたくてたまらなかったのは九話の単一剣製のシーンなので、どうやって勝つかは決まってたんですけどね。とは言え士郎の絶妙微妙な戦闘力をどう描くかは難題だったんですよホントに。
 聖杯戦争から半年、がむしゃらに身体を鍛えたとしたって所詮は半年。魔力だって元が激低いんだから急激に凛レベルに! なんて不可能。将来アーチャーなんだから、と言ったって無理なモンは無理です。
 それでもまったく手も足も出ずに開始数行で負けさせるわけにもいかないのであんな感じの強さに落ち着きました。アサシン先生は先生なので親切にもご教授を……というか、強敵と戦える可能性があるのなら相手に欠点くらい教えます。
 一つの究極に到達した先生に対し、相手の戦闘スタイルに合わせて使用武器を変えるだなんて戦い方で未熟な士郎が通用するはずもなく、結局はボロ負け。でも、答えはほんの少し手を伸ばせば届く場所にあるんだよ、的な戦闘でした。
 ストーリーもラストに向けて説明が多くなってきた。……はぁ。





 ■episode-07 〜芯鉄追究考〜

 芯鉄と皮鉄論。
 士郎はカッコつけです。無意識に美しい言葉で自己陶酔しています。お前は自分がもっと無様で泥臭い、でもそこがカッコイイ人間なんだってことに早く気付かなきゃ駄目なんだよ、というお話。
 言葉だけでガチガチに武装したって結局は駄目、想いが伴わなくちゃ。
 アーチャーがなんで折れたのかって、やっぱその辺だと思うんですよ。なんで助けたいのかって初心を忘れて、助けることのみを追究してしまったみたいなね。
 先生は剣を合わせることで相手の本質を見抜けるんです。達人だから。武術家は闘いを通してでしか語り合えない不器用な生き物なのですよ。
 士郎一人で思い悩むも、結局確たる答えには辿り着けず。片鱗は覗けるのだけれど、基本的に傲慢で我が侭で頑固でお馬鹿なので一番単純なその答えに行き着くことが出来ません。都合の悪いことは考えない、なんて奴だ!
 桜は衛宮邸の人達を盾に取られてあっさりさらわれてます。臓硯としては桜が見てないところでは別に生死はどうでもよかったので、殺そうと思ってたんですが先生の静かな迫力には勝てないのでした。





 ■episode-08 〜一片の想い〜

 クライマックスへ向けて一直線。説明が多い! なんて事だ!!
 設定に関する説明文が多い小説なんて三流もいいとこですよ。泣けるー。
 拙作での凛とイリヤの会話はまるでテリーマンとロビンマスク、もしくは桃と雷電。実は本部と加藤(or花田とか鎬昂昇)が一番近いとか考えると涙チョチョギレ。
 先生の過去捏造。彼もまた一振りの剣だった、のだけれど、彼は自ら望んで剣として生きたというのが士郎とは違うのです。いや、奴も理想のために自分で選んだには違いないんですが、やはり芯の部分で大きく異なる。理想先走りで想いが伴ってないので。

 裏設定解説。
 アサシン無明の実父というのが、実は『佐々木小次郎』と言う名前の剣士だったんです。五尺余の長刀を使っての全く新しい剣術を編み出そうと修行してた人で、剣客の間ではちょっとだけ名が知れてた程度の知名度。強さもそこそこ。そこに将来的に無明の強さと知名度が混ざり合って、架空の英雄『佐々木小次郎』が誕生した、というのがTurningでの小次郎という幻想の正体。当然武蔵とは実際には戦ってません。

 大聖杯にシステムエラーを起こそう、というのもアサシン自体がイレギュラーだったのに英霊としては最低限機能してたあたりを考えれば、有りかな、と。
 教会に言峰の代わりに赴任してきた老神父も聖遺物回収を生業にしてる人で、そういったアイテムの独自の流通ルート(闇ルート)と関わり合いがある、意外にストマックがブラックな人です。とは言え悪人ではないし、凛とイリヤが何やら重要なことに聖石や魔晶石を欲していることもわかってくれてます。いかんせん士郎は弱いし、敵は無数の蟲なので凛も相当な回数魔弾を使用可能にしておかないとパーティー全滅は免れません。魔力の貯蔵を充分にしておかないとね、勝ち目無いですから。そんな理由から貴聖石を捏造したわけです。
 事件解決後、その分も含めてイリ凛コンビは相当こき使われる羽目になるわけですが、そのくらいで勝利出来たんだから儲けものですね。

 イリヤと凛、それぞれのやり方で士郎に芯鉄を気付かせようとする。
 ここの凛は書いてて気分良かったです。
 凛は「不器用に、真っ直ぐに、届かないものにひたすら届こうと手を伸ばす」衛宮士郎の姿がまだ脳裏に焼き付いて離れないんです。自分勝手なイメージの押しつけと言ってしまえばそこまでですけど、彼女は良くも悪くもその一点で士郎のことを認めている、尊敬してるから言わずにはいられなかったんです。男性としてと言うより、一人の人間としての衛宮士郎が好きなんですよ、拙作の彼女は。
 ごめんね、士凛スキーな人達! 実は昨日、某所の凛萌えスレでTurning語られてるのを見て吃驚したよ! 許してください。凛のことは大好きですから。





 ■episode-09 〜単一剣製〜

 そもそも、これから理想に向かって走り出すぞーって奴の心象風景が無限に続く墓の群れって時点で「お前はふざけているのか?」という感じじゃありませんか?
 死んだ人間の分まで生きようって意志は大切ですが、必要以上に罪悪感を抱いた上に心に墓までおっ立てるなんて、ちょっとね、本気で自己陶酔しすぎですよ。本文でも書きましたけど、自らを墓所としようなんて傲慢もいいとこです。誰も犠牲にしたくないというのが理想なのに、心の中は既に墓で一杯ってのは早くも諦めてるみたいじゃないですか。
 誰も彼も救いたいと、本気でそう考えているなら、心の中に突き立てるのはただ一本の剣と鞘で充分なはず。
 そんなわけで単一剣製なんです。

I am the bone of my sword.
(体は剣で出来ている)
Steel is my body,and fire is my blood.
(血潮は鉄で 心は硝子)
I could not lose, whatever I may have.
(幾たびの戦場を越えて不敗)
Unaware of loss.
(ただの一度の敗走もなく)
It can surely win.
(ただ一つの勝利を常とす)
The heart which always continues keeping the promise.
(胸に抱きしは一片の想い)
waiting for her arrival.
(黄金の丘で鉄を鍛つ)
I always brandish one blade.This is the only Oath.
(ならば、無限の剣に意味など不要ず)
My whole life was "Ultimate blade works"
(この体は、ただ一振りの剣で出来ていた)

 この呪文はTurning書こうと思った一番最初に考えましたね。と言うよりも実は呪文に沿って全体の話を作ったのでありました。
 無限の墓標を胸に理想実現なんてどう考えても無理なんですよ。無理なことに挑戦するのなら、最後まで綺麗事を貫かなくちゃ。
 Turningの士郎はものすごい無理難題に挑戦しようとしてるんです。





 ■episode-10 〜そして、始まる〜

 最終話。うわーもう己の未熟ッぷりに呆れかえるぜ。でも精一杯書きましたさ。
 人が何かを願う心は、内容の善悪を問わずに純粋なものだと思うのです。無限の純粋な気持ちを前にしたら、この世全ての悪なんてちっぽけなものだと思いませんか?

 エクスカリバーが「彼の人に誓いし勝利の剣」になってるのは、士郎のオリジナルです。士郎は誰かから勝利を約束されたわけじゃありません。自分からセイバーに絶対の勝利を誓ってるんです。そんな意味。
 単一剣製はセイバーを想う心にほんの僅かな揺らぎが生じただけで最強から最弱へと早変わりする実に不安定、脆弱な固有結界ですけど、一本気な士郎にはむしろ相応しいものなんじゃないかと自分では思ってます。
 あ、それとその他の剣も一応投影出来ますけど、「でも、聖剣程じゃない」という意識が非常に強いのでランクが2ランクくらい落ちます。無限の剣製を実行しようとしてもそっちは心象風景が違ってしまってるので不可能です。エッラー。

 最終話で一番気に入ってるシーンは、凛が桜に「助けは必要か?」と尋ねるところなんですけど、ああ、ここはもうもっと上手く書けたんじゃないかと心残りありまくり。修行あるのみッスねー。桜ルートとの対比のつもりだったんですけど、ああ、無念だなぁホントに。
 そして少年漫画的展開で助けに現れる先生。先生にとっての今回の戦いは、士郎と決着がついた時点で終わってる、だから士郎達の完全勝利を臓硯なんかに邪魔されたくないんです。自分に勝った者とその仲間達が、臓硯のような奴に負けるなんてことはあってはならないことだって考えるのが先生かなーと。
 士郎との戦いを経て、先生は自分も一人の人間であったことを再認して、ついに本名を明かします。佐々木小次郎ではなく柳洞無明。自分が何者かもわからず剣への想いだけを頼りに生き抜いた先生だったのだけれど、ここに至ってようやく無明という名前を誇る気になれたのは士郎のおかげ。

 そしてイリヤはイリヤ。ユスティーツァではないので臓硯を救うことは出来ません。これも桜ルート終盤との対比です。
 ユスティーツァクローンとして大聖杯を閉じようとした桜ルートでのイリヤとは、拙作のイリヤは全然違いますんで。イリヤとして生きる意志、大切なのはそこです。

 ……で、問題の大聖杯残すラスト。
 確かにね、残せばまた犠牲は出るかも知れない。悪用される怖れもある。それでも人が何かを願うことの純粋さを知った今なら、やはり残すべきだろうと。
 ……いや、ぶっちゃけイベント新刊への布石なんですが、それも含めて残すことに意味があったんですよ、ええ、そうですとも!
 それに、壊そうと思えば壊せるけど協会と教会への誤魔化しが凄く面倒じゃないかと思うんですね。特にイリヤと桜なんて聖杯経験者ですから、ばれたらさらわれてもおかしくないだろうし。士郎とセイバーのことも含めて、大聖杯を壊さないことが凛的には現状では一番なんです。
 で、士郎は真実の蚊帳の外。まーた守られてるよこの男は。





 これでTurning Fate/The end for beginningはお終いです。
 凛と桜の話とか、外伝ネタも幾つか考えてますけど、それはまた別の話。今は取り敢えずお疲れさまでした、と。
 あとはTurn Fをぼちぼち更新しながら、イベント用新刊の原稿を仕上げます。
 イベント用新刊は……今までにも何度か話題には出したし、もうここまできたら皆さんわかってるとは思いますが第六回聖杯戦争物。セイバー帰還編になります。よってセイバー帰還が認められない方はTurningはThe end for beginningお終いだったんだと思っていただいて結構です。
 ほのぼのラブコメ期待してくれてる方には申し訳ないけどまだシリアスです。そう簡単にはセイバーはやれんなぁ衛宮くん。君にはもっと苦労してもらおう。
 ふはははははは。

 それではご愛読ありがとうございました。
 今後とも、よろしくお願いいたします。






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