ゴジ月おさらい用、episode-17までのあらすじ












episode-00 〜巨獣咆吼〜

 東北の山奥でぶつかり合う二体の巨躯があった。一方は幻想をも凌駕する怪獣、もう一方は巨大にして頑強なる魔城だ。その戦いを見守るのは久我峰斗波と、魔城のヴァン=フェム。死徒二七祖の一一角にして最古参の死徒とも呼ばれるこの老獪な男は、自らが持てる技術の総力を結集した魔城をも圧倒する怪獣の戦闘力に感嘆する。
 怪獣の名は、バラン。かつて遠野に住まう鬼達が婆羅陀巍山神として崇め奉じた龍神は、凄まじい獣性でもってゴリアテを追い詰めていく。しかしそんな死闘の果て、ゴリアテはかろうじて催眠ライトによってバランの捕獲に成功するのだった。
 満足げに笑みを浮かべるヴァン=フェム。その笑みを見て、恐怖を感じつつも己の野望に心躍らせる久我峰。
 人間、吸血鬼、怪獣。糸は複雑に絡み合い、二年の月日が流れた。



episode-01 〜永久渇望〜

 シオン・エルトナム――アトラシアの名を捨て、吸血鬼化治療のために流浪を続けていた少女は、半年程前からある吸血鬼の下へと身を寄せていた。
 白翼公トラフィム・オーテンロッゼ。最古の死徒の一人にして死徒の王。
 吸血鬼でありながらあまりにも人間らしく奔放に振る舞う彼は、不思議な魅力を備えていた。そしてトラフィムはシオンに尋ねる。
「この世でもっとも俗な行為とは……なんだと思うね?」
 永遠を求め吸血鬼になった男は、しかしその永遠を求めようとする行為こそがもっとも俗であると言って笑う。
 シオンの口にした『最低俗』という言葉に満足しつつ、トラフィムは盟友ヴァン=フェムと、シオンと同様に自らの下で研究を行っている遺伝子工学の権威・白神源壱郎が、二年前に捕獲したバランの研究をほぼ完了したことを告げる。
 単体で数千年から数万年を生き、それでもなお幻想種と成り果てることもなく生物として存在し続ける驚異的な怪獣の生命力。その解明は永遠への王手であると同時に、シオンの研究にも大いに役立ってくれるはずであった。
 しかし、白神はバランですらまだ足りないと言い、対してトラフィムは「……やはり、“ヤツ”でなければ駄目か」と口にして白神の不興を買う。
“ヤツ”――恐怖と破壊の具現、世界すら滅ぼしかねない最悪の存在に冷や汗を流すシオン。
 それでも探求者として“ヤツ”に興味を示すシオンに今は亡き娘の姿を重ねつつ、白神は彼女を軽く嗜めるのだった。










episode-02、03 〜南海にて〜
interlude-01、02 〜南洋酔蝦〜

 南海の孤島インファント島。鬱蒼とした熱帯林の中を行軍する三人の影。聖堂教会の代行者シエル、協会の魔術師バゼット・フラガ・マクレミッツ、そして二七祖一五位リタ・ロズィーアン。
 本来なら敵対し合う者同士がこの島を訪れたのは、トラフィムによる働きかけだった。彼が数千年に渡り追い続けてきた先史時代の遺失文明、その文明のものらしい遺跡が島で発見されたというのだ。
 島を行く三人は吸血植物スフランなどを撃退しつつ、徐々に遺跡へと近付いていく。しかし順調かと思われた探索に暗雲がさした。それぞれが各々の組織で最強クラスの実力を有する女傑達を完膚無きまでに圧倒する怪獣、カマキラスの出現。泥にまみれ、血反吐を吐きながら応戦する三人は、本当に紙一重でこれを撃退することに成功する。
 一方、三人をインファント島まで送るために護衛として付き添ってきた二七祖二一位スミレは、島の近海で巨大なエビの怪獣、エビラと遭遇していた。二七祖でも最強候補として呼び名の高いスミレをして手も足も出ないエビラだったが、機転を効かせたスミレは空想具現化を駆使してかろうじて難を逃れていた。
 そして、島を行く三人はついに遺跡へと辿り着く。
 遺跡に刻まれていたのは謎の古代文字。そして三人に語りかけてくる不思議な声。
 声の主はまるで妖精のような二人の少女だった。コスモスと名乗った少女達は、自分達は地球先住民族ノンマルトの末裔であると語るのだった。



episode-04 〜動き出す者達〜

 トラフィムとヴァン=フェムは、リタから魔術によって送られてきた一通の手紙を読み、渋面を作っていた。先史文明、ノンマルトについて長らく研究を続けていた二人だったが、コスモスによって語られた現状は二人の予測を遥かに上回る、最悪の様相を呈していた。永遠を求め、自ら最低俗と言って憚らないトラフィムにとって非常に由々しき事態に、彼はシオンへ「もう一度、日本へ行って貰うことになるかも知れない」とだけ告げる。
 その頃、聖堂教会の地下では埋葬機関の首領であるナルバレックと、同機関の代行者であると同時に死徒二七祖二〇位でもあるメレムのもとにもリタからの手紙が届いていた。その内容に喜悦を浮かべるナルバレック。人の身でありながらこの稀代の怪物は、意気揚々と白翼公の城へと出向くことを宣言してメレムの頭を悩ませる。
 日本での出来事を思い出し、懐かしさに想い耽るシオンを嘲笑うかのように、全てはゆっくりとだが確実に動き出していた。





episode-05 〜シオンの血〜

 インファント島から帰還したシエルは、白翼公の城で懐かしい相手、シオンと再会する。島での出来事、殊にコスモスについて質問するシオンだったが、シエルは特には何も聞き出せなかったと言う。
 久々の再会に世間話に花を咲かせていた二人だったが、丁度シエルが上司の悪口を言っていたところに現れたのは当のナルバレック本人。噂以上の怪人物ぶりにシオンも開いた口が塞がらない。
 コスモスとこの星に起こりつつある異常について話し合っていたトラフィムは沈痛な面持ちであった。何故、現行の人類よりも遥かに高度な文明を誇っていたノンマルトがほとんど痕跡すら残さずに滅び去ってしまったのか。
 そして、人類もまた滅びようとしているのだという過酷な現実。
 コスモスは語る。敵は、この星そのものなのだと。文明を発達させすぎたヒトは、星を食い潰していく。それを危惧する地球生命は、文明がある一定のレベルを超えると霊長を滅ぼすために動き出すというのだ。そして現在、世界各地で猛威を振るう巨大な怪鳥ギャオスはその尖兵であるのだと。
 ――しかし、ノンマルトよりも遥かに文明レベルで劣る現行人類が、何故?
 トラフィムの疑問に対し、コスモスが答える。それは人類によって生み出されながら、人類を超えたモノ。星に人類抹殺を決意させる程に危険な、しかしたった一体の、怪獣王の存在によるものである、と。
 人類も吸血鬼も関係なく滅ぼし尽くそうとする星の意思を前にして、その打開策――即ち“ヤツ”との対決――に野太い笑みを浮かべるトラフィム。そして白翼公はシオンへと決断を迫る。
 日本へ向かうや、否や。
 握り締めた拳から決意の血を流しつつ、シオンは日本へ向かうことを決断した。
 目標は日本の大島、三原山。十年前の出現時、最終的に三原山火口へと落下した“ヤツ”は今もなお火口内で眠り続けていた。
 敵は人に非ず。吸血鬼に非ず。それどころかたった一個の生命が、しかしこの地球を滅ぼす要因になりうると認識された、古今未曾有の超生物。
 客間に居並ぶ全員の顔を見渡し、トラフィムが静かに告げる。
 倒すべき敵の名を。
「我らが倒すべき敵は、怪獣王……――ゴジラ――ッ!」



episode-06 〜第一種警戒体制〜

 霞ヶ関の国土庁舎の一室、『特殊災害研究会議・Gルーム』と書かれたその部屋に訪れた奇妙な来訪者は、シオンとメレムの二人だった。突如来訪したこの闇の世界の住人達を、、Gルームの権藤吾郎一佐はまるで値踏みするかのように見つめていた。
 ここ最近、活動を活発化させている三原山。もし噴火すれば、たちまちゴジラは目を覚まし、日本は再び蹂躙されるだろう。ならばその前に、万全の準備を整えた状態でゴジラを目覚めさせ決戦を挑もうというのがシオン側からの提案だった。
 人類を滅ぼそうとする地球人類の意思――ギャオスによる襲撃も、ゴジラを人類自らの手で撃滅してしまえば止むはずだと述べるシオンを試すかのように権藤は厳しい言葉を投げかける。
 権藤らと別れて後、メレムとの会話で人類がその手で産み落としたゴジラとの戦い――つまるところの子殺し――それがたとえどれだけ愚かしく度し難い行為であっても、人類が生き延びるためにはゴジラを倒すしかないと覚悟を述べるシオン。
 一方その頃、伊豆諸島のある島で洞窟内の遺跡を調査している男がいた。このところ頻発する有感地震に危惧を抱きつつも、男は黙々と探索を続けるのだった。



episode-07 〜第二種警戒体制〜

 秋葉に呼び出された久我峰は二年前の件――遠野家にとって不可侵の存在であるバランをヴァン=フェムに売り渡したことで弾劾されていた。自分がヴァン=フェムを欺き企んでいた野心のことなどどこ吹く風、久我峰は切り捨てられた恨みに身を焦がす。
 久我峰に謹慎を言い渡した秋葉は琥珀と共にもう一つ、ある件について頭を悩ませていた。遠野家にとって遠縁にあたる甲上家。その血筋が途絶えてしまったため、甲上家の管理地である甲神島の管理を秋葉が担当することになったのだ。せめて兄の志貴がもう少し遠野家の仕事を手伝ってくれればと思いながらも気丈な秋葉はそれを表に出そうとはしない。その志貴は、ここ最近熱を出して寝込んでしまった恋人、アルクェイド・ブリュンスタッドの看病のために家を空けていた。
 兄とアルクェイドの事に頭悩ませつつ、甲神島に向かった秋葉は島の洞窟を調査していた考古学者、学会では妖怪ハンターなどと渾名され爪弾きにされている稗田礼次郎と出会う。
 その頃、防衛庁ではシオンの提案を早速権藤と防衛庁特殊戦略作戦室室長の黒木特佐が上申、緊急の決議が開かれていた。世界各地で起こり始めたギャオスによる襲撃事件は日増しに激しくなってきている。一刻も早くゴジラを倒さなければ人類の滅亡は必至だ。そのギャオスを退治するためフランスに出向いていたリタは、何者かによってズタズタに引き裂かれたギャオスの死骸を発見する。
 世界各地で異変が表面化し始めていく。そして、南アメリカでは最強最悪の死徒、ORTが活動を開始していた。





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episode-08 〜Gの鼓動〜

 兵庫県冬木市、柳洞寺地下大空洞。半年前、聖杯戦争の最後の舞台となった場所でコスモスは守護神獣モスラへと祈りを捧げていた。魔力の濃い冬木は彼女らの祭礼にも非常に適した土地だったのだ。協会からの依頼でゴジラ撃滅作戦に協力することになった凛と桜の姉妹は、神々しいコスモスの姿にただ見入るしかなかった。冬木は十年前のゴジラ襲撃事件で壊滅した土地でもある。しかしその影に第四次聖杯戦争があった事を住民達は無論知るよしもない。ただ凛は、間接的にとは言え父の命を奪ったと言えなくもないゴジラとの戦いに宿命的なものを感じていた。
 そしてついに日本政府はゴジラ撃滅作戦を決意、早々に日時も決まる。実際に大島に渡り決戦の下見をしていたシオンは、一緒に島を訪れていた超能力少女の三枝未希とともにゴジラの鼓動を感じ取る。
 人類は足掻く。必死に、滅びへと逆らっていた。どうして無駄な抵抗をして苦しみを長引かせようとするのか……闇の宮で、少女は愛犬の頭を撫でながら愚かな人類を怜悧な視線で見つめていた。アルトルージュ・ブリュンスタッド。何者かが、彼女に囁きかける。可愛い妹、アルクェイドを誑かした人類に罰を与えなさい、と。
 運命の日は、刻一刻と近付いていた。



episode-09、10 〜第三種警戒体制〜
interlude-03 〜水底で見上げる天〜

 ヴァン=フェムの第二魔城アイアンロックスを中心に、伊豆下田にゴジラ撃滅作戦のための戦力が集結していた。秋葉と再会したシオンは、その圧倒的な戦力を眺めつつも不安を消しきれない。秋葉はそんな友人を心配しつつも、甲神島の洞窟で拾った勾玉が気に懸かると言って再び甲神島へと向かう。そうして甲神島で稗田と秋葉達は、甲上家の守り神でもある異形の玄武を描いた壁画を発見する。
 欧州、白翼公の居城では、ギャオスの遺伝子情報の解析が済みトラフィムを驚愕させていた。さらにスミレが太平洋上でORTらしき敵と交戦して行方不明となってしまう。事態を重く見たヴァン=フェムとナルバレックは、リタを伴って日本へと向かうのだった。
 行方不明となったスミレは死んではいなかった。海中に没した彼女は、ムー帝国の少女、アネットによって救出されていたのだ。地上の異変を見つめるムー帝国の真意とは?
 そして、ついにゴジラ撃滅作戦を翌日に迎えた日、大島に謎の巨大ロボットが出現した。暴走した久我峰が操るゴリアテUだ。ゴリアテUは三原山を爆破、ついにゴジラが復活してしまう。甦ったゴジラは不完全なように思われたが、その状態でもゴリアテを瞬殺してみせるとゆっくりと本土へ向かおうとし始めた。まだ完全に準備の整っていなかった下田の艦隊はすぐには動けず、既に大島に上陸していた権藤率いる部隊のみで食い止めるのは不可能に近い。そのためシオンは整備途中で腰のパーツを欠いた第一魔城キングジョーを無理矢理起動、東京からもスーパーXU改が出撃する。




episode-11 〜死闘〜
episode-12 〜邂逅〜

 大島でキングジョーとスーパーXがゴジラと死闘を演じる中、東京上空には大量のギャオスと、仇敵への復讐に燃える黒翼の大蛾バトラが襲来していた。コスモスの祈りに応じて飛来したモスラは、東京上空でバトラとの空中決戦に突入していく。
 ギャオスによって東京が地獄絵図と化していく中、遠野志貴とアルクェイドのもとを訪れたのはアルトルージュ配下、黒と白の二人の騎士――リィゾとフィナだった。ギャオスを引き連れてきた二人、直死の魔眼をもってしてもその死を視ることの出来ない謎多き強敵リィゾに志貴は完全敗北を喫する。もはやここまでと思われた絶対の窮地に、志貴を救ったのはナルバレックとリタだった。
 大島の戦いはゴジラの優位が揺るぐことなく、シオン達は焦燥を隠せない。すぐ近くの甲神島からその戦いを見ていた秋葉の、首から下げた勾玉が突如光と熱を放つ。その時、海を割って現れたのはまさに壁画に描かれていた玄武だった。秋葉は玄武は甲神に伝わる神獣に違いなく、其の名はガメラであると告げる。まるでシオンを救おうとする秋葉に呼応するかのように大島へと飛来したガメラは、権藤の窮地を救いゴジラと正面から向き合うのだった。





episode-13 〜大東京グラン・ギニョール〜
episode-14 〜G×G〜
episode-15 〜恐怖の水晶魔境〜
 
 ゴジラが復活した頃、冬木ではセイバーとライダーが突如姿を消していた。二人を探して町中を駆け回る士郎とイリヤ。しかし遠く東京でナルバレックとリィゾが互角の戦いを繰り広げる中、志貴とリタを急襲した謎の剣士こそ、冬木で行方不明となったはずのセイバーであった。さらにライダーまで現れ、熱に意識を奪われたままのアルクェイドをリィゾとフィナに命じられるまま強奪していく。時を同じくして、東京は謎の水晶によって覆い尽くされようとしていた。ORTが来たのだ。
 大島の戦いは、ガメラが加わってなおゴジラの優位が覆らずにいた。キングジョーを、スーパーXを寄せ付けず、ガメラの火球にさえ怯まぬ怪獣王の咆哮が島を震撼させる。しかしガメラの動きに何故か秋葉の姿を重ね見たシオンは、徐々にガメラと息を合わせてゴジラを追い詰めることに成功する。
 秋葉は勾玉を通してガメラとシンクロしていた。ヒトを守るために在る、守護神獣ガメラ。守りたいと想う心がその力を増し、紅蓮の髪を燃え上がらせて秋葉はゴジラへと挑む。
 秋葉との協力によって徐々に圧され始めたゴジラに対し、シオンは腰部パーツを欠き不完全ながらもキングジョーを合体、上半身のみでゴジラを羽交い締めにする。そこにスーパーXのカドミウム弾が炸裂、核エネルギーを抑制されたゴジラは足掻くが、ついには特攻を仕掛けたガメラによって両雄は海に没するのだった。
 ゴジラが海に消えたのを見届け、黒木達は東京を脱出しようとしていた。しかし東京は空をギャオスに、陸を水晶で出来た化物の群れによって制圧されつつあった。メレムの操る怪獣と、救援に駆けつけたヴァン=フェムとその部下、バルスキーとドランガーの協力もあってなんとか撤退する黒木達。志貴も、アルクェイドを連れ去られた悔恨に打ち震えつつもリタとナルバレックに伴われて東京を脱出する。
 ORTの水晶によって陥落した首都、東京。果たして日本はどうなってしまうのか。



interlude-04 〜白翼は舞う〜

 ゴジラ復活の直前、トラフィムの城を謎の敵が強襲していた。ヘラクレスとクー・フーリン、佐々木小次郎。半年前、冬木の聖杯戦争に呼び出された英霊達は、アルトルージュの走狗と化し吸血鬼の王に挑みかかろうとしていた。
 二七祖の一人、エンハウンスと互角の戦いを繰り広げる小次郎。トラフィムを前に、怯む様子もないヘラクレスとクー・フーリン。かつてのパートナーとの予期せぬ再会と、彼から冷たく突き放されたことによって膝を折るバゼット、そしてバゼットを支えるシエルが見守る中、トラフィムとクー・フーリンは壮絶な死闘を繰り広げる。
 暴風と魔槍の戦いはしかし痛み分けに終わり、どうして人類を守る立場にあるはずの英霊がこのような敵対行動に出たのか問うトラフィムに対し、ヘラクレスは「我らは、英霊だ。人間を守るために、我々は、在る」と言い残して去っていくのだった。



episode-16 〜怪獣無法列島〜

 ゴジラ復活から数日後、東京は水晶群獣レギオンと怪鳥ギャオスに蹂躙され壊滅状態にあった。有彦は、レギオンに襲われ絶体絶命のところを魔戒騎士ゼロや妖魔一族の忍者達に救われる。そんな中、長らく行方不明だった旧友・弓塚さつきと再会を果たす有彦。しかし、さつきにはある重大な秘密があった。
 ヴァン=フェムらによって開発が進められていた強化服。かつて人々を守り、正義のために戦ったと噂される正義の味方――仮面ライダーの名前をとり、ライダーシステムと名付けられた装備によって変身したさつきはレギオンを蹴散らし、さらに東京から人々を脱出させまいとする英霊ハサンとの戦いにも勝利する。
 一方、甲神島では稗田と琥珀、そしてドランガーがガメラの秘密と壁画に描かれた他の四聖獣の謎を探るべく探索を続けていた。調査の途中、食事にしようとした三人の前に現れた意外な人物。それは死亡したと思われていた久我峰だった。甲上家の秘密に通じる久我峰は、三人を洞窟の最奧、隠された深部まで案内する。
 


episode-17 〜激震の冬木〜

 突如、冬木市を覆った濃霧は魔力や電波を遮断し、冬木は完全に外界から閉ざされてしまった。冬木内部にいるコスモスを救出するために霧の中へ空路から突入する志貴、シオン、リタ、権藤、未希、バルスキー。さらに陸路からはさつき、有彦、ゼロが突入する。
 霧の中、凛と桜はまったく予想外の相手に襲われていた。家族同様に付き合い、親友とも思っていたセイバーが二人に刃を向ける。桜を逃がし、セイバーを足止めしようとする凛。凛をすら斬り捨てようとするセイバーを止めたのは、東京以来二度目の戦いとなるリタだった。英霊と吸血鬼の死闘は、しかし霧の中から現れた怪獣サドラによって中断され、サドラから凛とリタを庇ったセイバーはフィナによって撃たれ、連れ戻されてしまう。
 天を貫くエクスカリバーの光を目撃し、そこにセイバーがいるに違いないと駆け出す士郎。士郎と、彼をシェルターに連れ戻そうと追いかけてきた綾子はライダーに襲われる。ライダーに対し手も足も出ない士郎。こちらの窮地を救ったのは、志貴とシオン、バルスキーだった。石化の魔眼を駆使するライダーに苦戦しつつも、志貴は士郎と協力し、ライダーを追い詰める。ライダーは本気を出してはいなかった。彼女もセイバーも、必死にアルトルージュの支配に抗っていたのだ。英霊達さえ強制的に契約を結び操るアルトルージュの恐るべき魔力は、黒い血となってライダーの身体を流れていた。その血を抜くために、志貴に自分の首をはねさせるライダー。首だけの状態となったライダーは自分とセイバー、そして英霊達がどうしてアルトルージュに従っているのかを語り始める。

 冬木の各所で様々な戦いと邂逅が繰り広げられていく。イリヤもまた、アルと名乗る不思議な少女との出会いを果たしていた。抱き締めた白い子犬の頭を優しく撫でながら微笑むアル。とても無邪気で、純粋で……、深い。その笑顔は、まるで冬木を覆うこの霧のようだった。











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