■2010/4/29・COMIC1☆4発行 黒色彗星帝国/寒天示現流コピー誌より■









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 蝋燭の灯火が揺らめくそこは、作られて以来一度として陽の光が差し込んだことはない場所だった。
 一年を通して低温に保たれている、カビ臭い石の牢獄。鳳凰学園の地下にこのような空間があることを生徒の殆どは知らぬままに学園生活を謳歌し、そして卒業していく。
 それは“熾天烈火”の異名を持ち、学園における朱雀系最強因使(ファクター)を持つとされる紅炎寺カリンも、また学園生徒会副会長を務めあげる“荊姫”、冴樹志津華の両名でさえも例外ではなかった。
「……はぁ……ん、……ふ、くぅ……」
「ひ……ふぅ……は、……ぁ、……うぅ……」
 床石の冷たさが無ければ、熱病に喘ぎながらとうに狂い死んでいたかも知れない。炎熱系の能力者であるカリンがこんなにも熱を忌々しく、呪わしいと感じたのは初めてのことだった。
 もっともこの全身を冒す媚熱は慣れ親しんだ火炎のものとはまるで異なる。身体の内から湧き上がる、初めて味わう毒だ。それはカリンと同じように神具を取り上げられ、両手両足を荒縄で縛られて無造作に床に転がされているシヅカも変わらなかった。
「……ンッ、……き、ふぅ……は、ぁ……」
「い、……いった、……どうして、……こんな……」
 流れ落ちた汗か、滲み出た涙か。潤んだ瞳で睨め上げた先、そこに立っている男子生徒を二人はよく知っている。二人でなくとも、この学園の生徒であるならば知らないはずがない顔だ。
「フフ……二人とも、流石に我慢強いねぇ」
 日頃からまるで崩れない、能面のようにベッタリと貼り付いた人当たりの善い笑顔の男。
「ケロッタマの体液から作り出した秘薬を飲んでもまだ理性を保てているなんて……そうそういないよ。学園でもトップクラスの能力者とは言え、ボクは君達を誇りに思う」
 現鳳凰学園生徒会長、“太陽王子”……鳳凰院神那人はそう言うと、ゆっくりとしゃがみ込んでカリンのうなじを撫でた。
「ひはぁんっ!?」
「うん。イイ感じだよカリン君。それに――」
 今度はシヅカの太股を人差し指でスッとなぞる。
「ふぁあああっ!?」
「シヅカ君も、ね。仕上がりは上々のようだ」
 ただソッと触れられただけだというのに、全身に走った電流に二人の少女は心胆を寒からしめた。
 カリンもシヅカもこれまで異性と交際した経験は皆無だが、それでも一八の少女――いや、女だ。今の刺激が果たしてなんであるかわからない歳ではない。だからこそ、怖ろしい。既知の感覚とはまるでかけ離れた未知の領域、その深淵が。
「うん。もういいだろう」
 立ち上がり、満足気に頷くとカナトはパチンと指を鳴らした。その瞬間、待ちかねていたかのように牢獄の重い扉がギィッと不快な音をたてて開く。
「あ……あなた、達は……」
 扉の向こうから現れた影達に、二人は見覚えがあった。
「お、おお! 本当に熾天烈火と荊姫だぜ!?」
「こりゃ驚いた……!」
 戯けた様子で大袈裟に驚いたのは、獣人族らしい巨躯と竜人族らしい痩身の学生達だった。
「へへ……か、会長」
「ほ、本当にいいんですかい?」
 その後ろに続くのは、翼人族や魔人族。機人と人間を除いた四種族が数人ずつ、合計で二十人あまりもゾロゾロと狭い室内に入り込んで来た。
「……こ、こいつら……確か……」
「ええ……学園の、不良グループ……ッ」
 特に副会長のシヅカは見覚えどころか直接指導――痛めつけたこともある。どいつもこいつも札付きのワルばかりだ。
「ひゃっははは! しかし、イイザマだなぁおい。エリート因使(ファクター)様が二人して床に転がされてヒィヒィ喘いでやがる!」
 ねとつくような野卑た視線を注がれ、ニタニタと下品な嘲笑の的にされた二人は、悔しさに歯噛みすると同時に今から自分達の身に降りかかるであろう災厄を想像して青ざめた。
 連中のひたすらに欲望を滾らせた目が果たして何を意味しているのか、わからない二人ではない。
「さて。それじゃボクはいったん失礼させてもらうよ」
「あん? 会長さんはいいんですかい?」
「それとももう充分に愉しんだ後ですかぁ?」
 盛り上がる不良達を困ったものだとでも言いたげに一瞥すると、カナトは質問に答えることなく踵を返した。
「くっ、か、会長ッ!!」
 シヅカの呼び止めにもまるで応じようとはせずに、再び重苦しい扉がギィッと、今度は閉まっていく。
「それじゃ、せいぜい愉しんでよね」
 最後まで振り返りもせずに。カナトによって、扉は、固く閉じられていた。





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「ひぁああっ!? ぐっ、あひぃいい!」
「へへっ、た、たまんねぇ乳マンコだぜ」
 荒々しい息遣いと共に、魔人族特有の青黒い肉棒がカリンの乳房を犯し、蹂躙していた。余程キモチ良いのか、胸を揉みしだく手にも激しいピストンにも一片の慈悲、容赦は無い。ただ己の肉欲を満たすためだけの、双丘をオナホールにでも見立てたかのような一方的な動きだ。
「も、もぉ……や、やめっ……ん、あぁああっ! ア、アタシの……胸ぇ、そんな汚いの……もぉ……い、いやぁ……ッ!」
「いいねいいねぇ。こっちの腋マンコの方も、クク。汗に蒸れてエロ雌の匂いがプンプンしやがる。朱雀系の能力者は汗っかきが多いけど、ここまで臭ぇのはそうそういないぜ」
 羞恥に頬を染めるカリンを見下ろし、腋にエラが三重もある肉棒を擦りつけていた竜人族は、そう言うと満足気に腰を振った。
「そんっ!? そ、そんなコト無い、アタシ、そんなぁ……に、匂いなんて……くヒィイイインッ♥」





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 悲鳴に甘い響きが混ざる。これがカナトに盛られた秘薬の効果なのかと、しかしだからどうだというのだろう。今のカリンに出来ることと言えば、たとえ言葉の上でだけなのだとしても必死に快感を否定することだけだ。
 かれこれどのくらいこうされているのか、時間の感覚が麻痺しているのか判然としない。制服の上着を乱暴に引き千切られてから後、幾人もの男達によってカリンはずっと胸と腋を責められ続けていた。汗と体液とで上半身はグチャグチャだ。
「へへ……あの熾天烈火のデカ乳を、この俺のチンポが犯してるなんざなぁ。信じられねぇぜ。……しかも見ろよ、この蕩けそうなエロ顔をよぉッ!」
「はひンッ!? ……うっ、うぅ……アタシ、エ、エロ顔なんてして、ないぃい……ぜ、ぜったい、違う……んぁあああっ♥」
「どの口がンなコトぬかすもんだかな。そんな物欲しそうな目でチンポ見つめて、口からはヨダレ垂らしまくって喉鳴らしてよぉ。……素直になろうぜぇ? チンポ、キモチ良いんだろぉ?」
 今度も、カリンは否定しようとした。なのに、
「……あ、ぅ……ちが……ちが、ぅう……は、あぁ……」
 開いた口が、動いてくれない。否定の言葉を、紡げない。
 その代わりに喉が鳴る。物欲しげに、ゴクリと。目の前の亀頭から、視線を逸らせない。
「それによぉ。副会長さんの方は、もっと素直だぜぇ?」
 囁きが、脳を焼く。
 無視していたわけではない。聴くに堪えなかっただけだ。
「ひやぁあああああああッ♥ お尻、お尻の穴ぁああっ♥ お尻なのに、汚いトコロなのにぃいいくヒィイイッ!? お尻、不浄のお尻穴ズボズボされてるおチンポでほじられてるぅうう♥」
 シヅカの嬌声に、カリンは目を背けるしか出来なかった。あの生真面目さを絵に描いたような才女が、尻穴を肉棒で犯されてヨガリ狂っている。だらしなく口端からヨダレを垂らし、男達の動きに合わせて自分から淫らに腰を振ってしまっているだなんて、実際に目にしてもまだ信じられなかった。
「へへ、いつもいつもオレ達を落ちこぼれのクズ扱いしやがっててよぉ。そんな副会長様が、チンポでクソ穴犯されてヒィヒィ感じまくってるなんざ、マジたまんねぇぜ」
「ち、違、うのぉおヒィイイッ!? こ、こんな……ウ、ウソぉおおおお……は、ぐぅ……ンふぁあああッ♥ こ、これ以上、お、お尻犯さないでぇ……い、やぁああ……〜〜〜〜〜ッ」
 ビクンビクンとシヅカの身体が何度も勢いよく跳ねる。言葉ばかりの抵抗はむしろ男を昂ぶらせるだけだ。もしかしたら、シヅカもそれをわかっていながら敢えて嫌がる素振りだけ見せているのかも知れないと、そう考えてカリンは首を横に振った。自分も同じようになってしまうのではないかと思うと、怖ろしくて仕方がない。
「オレはよぉ荊姫、前々からあんたのムッチリと肉の詰まったドスケベエなケツマンコをこの自慢のデカマラで突きまくってやりたかったのさ。……オラァッ!!」
「くひぃいいいっ!? お、おぉおおおひぃほぉおお……♥ お、おぐぅ……ッ、おなかの……お、オク……までぇ……わらひのぉドスケベケツマンコぉ♥ デ、デカマラチンポ、届いて、お肉ぅ削られてるぅうう……んほぉおおおおおおおっ♥」





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 獣人族の巨大な陰茎が深々と根本まで突き刺さり、直腸ごと引きずり出すかのように抜けていく。それがどれほどの快感であるのか、カリンには想像もつかなかった。
「イヤ、いや……なの、にぃ……くひぃいいっ!? こ、こんにゃのぉ腸壁ぃ、えぐられてる、ぶっといチンポでぇ……かふっ、は、んぁあああああああッ♥ お尻ぃ♥ ケ、ケツ……けちゅ穴ぁあイヒィイイイイ♥ めくれるっお尻マンコ肉めくれちゃうぅううウッケツマンコ裏返るぅううううンッ♥」
 壊れていくシヅカの嬌声が、石牢内に木霊する。頭の中に反響するソレを振り払おうとしながら、カリンも最早限界だった。
「……あっ、……う、ふぅ……ンッ♥」
 身を捩ると、当然のように胸に挟まれた肉棒や腋に擦りつけられている亀頭から伝わってくる刺激も変化し、身体が震える。
 頭だけではない。もっと腹の奧で……子宮が疼いているのを感じる。カリンは、感じてしまっている。
「はっ、あ……ぁ」
 その事実が、今にもタガを外そうとしていた。男達の体液と自らとの汗が交じり合った淫臭が鼻腔を犯す。それがたまらなくて、カリンはいつの間にかスンスンと犬のように鼻を鳴らしていた。
「クク……そんなにチンポの匂いがいいのかよ、熾天烈火さんよ」
「なっ!? ……ア、アタシは……そんな……」
 ハッと我に返り、カリンは顔を背けた。申し訳程度にまた身体をよじり、そのせいで剛直が乳肉へと喰い込む。
「はぅンッ!?」
 子宮の疼きが、さらに強まっていく。鼻から侵入した淫臭はそのまま胸を見たし、内からも外からもイヤらしい匂いを感じてカリンは頭を振った。否定の言葉が、出てこない。視界が、歪む。
 毒々しく禍々しい肉剣を見つめ、桜色の艶やかな唇を舐めたその舌を、カリンは無意識の内に目前の亀頭へと伸ばそうとしていた。
「……ふ、あ……あっ……お、チンポぉ……♥」
 ようやく紡ぎ出せた言葉は、最早騙しきれない雌の淫欲にまみれていた。残された僅かな理性は懸命にその行為を押し止めようとしているのに、口腔内の粘膜から止め処なく唾液が溢れ出て、喩えようのない飢餓感がカリンを打ちのめす。
「おう、そうだぜぇ、チンポだ。ほら、舐めてぇかぁ?」
 カリンの雌が、ねっとりと華開いていく。
 飢えているのだ。
『何故』『どうして』という疑問の言葉すら、頭の中から綺麗に消え去り、残されたのは純然たる欲求だった。。
 目の前の薄汚い肉棒が、欲しい。恥垢にまみれたカリ首を舌で舐め上げ、先汁を滲ませた先端に口吻し、亀頭を丸ごと頬張って、口と胸とでその硬さ、竿に浮き出た血管の一本一本、猛りの全てを感じたい。雄の淫熱で、焦がれ、燃やし尽くされたい。
 抑制出来ない情動が全身を駆け巡り、カリンは遂にうっとりと、恋する乙女のように呟いていた。
「……う、ん……舐め、……たい……チンポ……欲し、い……♥」
「クックク。ようやく堕ちたか」
 怖ず怖ずと亀頭に舌を伸ばすカリンを見下ろし、魔人族の不良はさらに腰を突き出した。魔人族の体液には、それ程強くはないが媚薬作用がある。ケロッタマの秘薬と魔人の媚薬、両方を相手によくもここまで耐えたものだ。
「おいおい、腋の方も忘れるなよ」
「くふ、あぁ……っ♥ ……う、うん……こっちにも、くっさいおチンポが……はっ、やっ♥ チンポ、熱い……ヌルヌルの先汁が……ん、……あ、はぁ♥ アタシ、肌でチンポとシちゃってるぅ……♥」
 汗まみれの肌を自分から肉棒に擦りつけ、カリンはようやく重苦しい抑圧から解き放たれたのだとばかりに亀頭を頬張った。
「おっ、おおおお……い、いいぜぇ熾天烈火ぁ……乳だけじゃねぇ、口の方も立派なマンコだぁ」
「ふむぅううっ♥ ぢゅぷっ、レロ……く、きふッ♥ ……はぁ、オマンコ、なのぉ……うん、オマンコで、いいからぁ……アタシのカラダ、ぜ〜んぶ、オマンコにしてぇ♥ だから、もっとチンポぉ♥ チンポチンポ、チンポまみれにしてぇええッ♥」
「おう、いいぜぇ。今からお前は全身マンコの肉便姫様だ。一日中、いや一年中チンポでマンコだ。いいなぁ?」
「はい、はひぃいいいっ♥ オマンコするっ、一年中オマンコするから全身でオマンコするからぁッ♥ だからチンポちょうだい♥ もっともっと、ぶっとくて臭くて熱いチンポチンポぉ♥ ――のひぃいいいいいいいいいいいいいいッ!?」
 コレが返事だ、とばかりに凄まじい衝撃がカリンの身体の中を突き抜けていった。
「ヘ、ヘヘ。望み通りに……して、やるぜっ!」
「お、おぉおおほぉおおおぉおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♥」
 まさに一瞬の破瓜。パイズリや腋コキで興奮しきっていたカリンの秘所を、待っていましたとばかりに獣人族の剛直が突き上げる。
「ひやっ、はっ、ほぉお、のひぃいいいっ♥ ち、ちんぽっ♥ おちんぽ挿入(はい)っちゃってるぅううっ♥ アタシはじめて……はじめてらったのにぃんはぁああああッ♥ オ、オクぅううっ♥ 子宮、子宮ドンドン叩かれてるチンポで殴られてるぅっくひぁああああああッ♥」
「ンじゃこっちの初めても、……っとぉ!」
「おひりもぉほぉおおおおおおおッ!?」
 挿入の瞬間に襲い来た絶頂の波が引かないうちにさらなる絶頂が襲い来る。処女喪失から休む間もなく絶頂、絶頂、絶頂の繰り返しにカリンは狂ったように髪を振り乱し、全身を痙攣させていた。
「あはぁあああっ♥ そっちもお尻マンコほじられちゃってるぅ♥ わたしぃ、私ももっともっとケツ穴チンポでほじってぇ♥ シヅカのケツ穴チンポ専用にしてぇえっ♥」
 カリンに負けてなるか、とばかりに尻を振るシヅカの嬌態に、順番待ちの不良達は生唾を呑み込んでいた。
 あの熾天烈火と荊姫が、落ちこぼれである自分達の肉棒を求めて涎まみれの顔をだらしなく綻ばせている。それだけで、ギンギンにいきり勃った股間は爆発してしまいそうだ。
「くひっ、ふ、はぁああっ♥ ……んっ、そっちの……アナタもぉ、……ボーッと、見てないで……ね? まだまだ、チンポ……何本でも、イけるから……んはぁあああっ♥」
 カリンに手招きされ、夢遊病者のようにさらなる不良達が淫肉へと殺到していく。
「私もぉ……はぅううんっ♥ もっと、もっとチンポぉ欲しい♥ 全然足りないの、寂しいのぉ……っ♥ んっ♥ こう、して……拡げれば、ケツ穴も、マンコ穴も……もう一本ずつくらい、……はぁっ♥ 挿入(はい)る……から……ね?」
 既に大量の精液を注がれまくっただけでなく、今も剛直を挿入されたままの前後の穴をさらに指で押し広げ、シヅカは不良達を淫蕩に誘い、微笑んだ。
「こ、こいつらマジたまんねぇぜっ!」
「こうなったらトコトンまで犯し尽くしてやらぁ!!」
 我慢などしていられるか、とばかりにカリンとシヅカの全身に隈無く不良達の肉棒が突き立てられていく。穴という穴、それどころか肌も髪も、二人は本当に全身を性器として扱われていた。
 なのに、嫌悪など欠片も無い。
「きたぁああああっ♥ チンポすごいっチンポすごいいイィイッ♥ アタシバカになるバカになるぅうう♥ もうチンポのことしか考えられないチンポバカになっちゃうぅおおぉおおおおッ♥」
「お尻ぃミチミチってしてるぅうっ♥ 裂けるっチンポ二本挿入(さ)しでケツマンコ裂けるぅううう♥ ケツ穴の肉めくれてる腸肉全部引きずり出されちゃうぅうっぎひぃあぁああああぁぁああああッ♥」
 悦楽、歓喜、ただ至上の快楽のみを求める淫獣が、二匹。
 石牢の中に、嬌声のみが響き渡っていく……





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「ひはぁあああ〜〜〜……ちんぽぉ……♥ もっろしへぇ……♥」
「んっ、ふむ……んぐっ……ふ、はぁ♥ ……ちんぽじりゅう、おいひぃのぉ……♥」
「……いやはや、予想以上だね」
 半日ぶりに訪れた石牢内の様子に、カナトは呆れたように眉を顰めていた。いったいどれだけの間休みなく交じり合っているのか、雄も雌も人外の悲鳴をあげながらひたすら腰を振るっている。
「でもまぁ、彼女達にはもっと頑張ってもらわないとねぇ。この刺激が、落ちこぼれと呼ばれていた彼らの因使(ファクター)をより強力に目覚めさせるきっかけになるかも知れないのだから」
 もう何年も続けられてきた実験だ。強力な因使を持つ者と微弱な因使しか持たない者とを交わらせ、さらなる覚醒を促す。実際に幾つか成果があがった例もある。それに、もし駄目でも――
「何しろ当代の学園を代表する熾天烈火と荊姫だからねぇ。さらなる高レベル者の母胎になってもらうのも良い」
 ニヤリとほくそ笑み、カナトは踵を返した。三日ほどもしたら様子を見に来ればいいだろう。それまでは……
「どうか、良い夢を――」
 ほんの僅か、哀れむように。
 カナトは、再び石牢の扉を閉じた。





-了-






絵:寒天示現流




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