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〜R2放送開始記念小ネタ〜



「……あの、ルル――……ゼロ?」
「どうした、カレン」
 コードギアス〜反逆のルルーシュ〜R2の第一話も無事放送終了してからのこと。カレンはゼロの私室に呼び出されていた。
 そのこと自体は別に、黒の騎士団にあっては珍しいことではない。彼は騎士団を統べる首領であり、カレンは彼の親衛隊長であることを誇りに思っていた。少なくとも、一年前はただ純粋に。
 ゼロの正体がルルーシュであると知ってしまってからは、わだかまりもある。が、それでも彼は日本のために、それに自分のために必要なのだ。カレンは必死にそう思い込もうとしていた。
 ……思い込もうとしていた……のに……
「……どうして、わたしはこんな格好を?」
「ふむ。気に入らないかね?」
 心外だ、とばかりに聞き返してくるゼロの仮面にココナッツクラッシュをぶちかましてやりたくなるのを必死に堪える。
 ――我慢、我慢よカレン! これも日本のためなんだから――
 心を落ち着け、深呼吸。
 吸って吐いて、また吸って……カレンは、頬を染めながらもう一度ゼロに問いかけた。
「気に入る気に入らないじゃなくて! どうして! わたしが黒の騎士団のアジトの貴方の私室でバニー服を着ていなくちゃいけないのかと聞いているんです!!」





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 怒鳴った拍子にこぼれ出しそうになったたわわな胸を咄嗟に押さえる。バベルタワーで着せられていたバニー服よりも胸のサイズが小さく、油断するとすぐポロリしてしまいそうで気が気でない。
 はぁはぁと肩で息するカレンを仮面越しに見やり、ゼロは大仰に頷くとやおらソファーから立ち上がった。
「そんなもの、私が見たいからに決まっているじゃないか!!」
「……は?」
 カレンは、目が点になった。
「考えてもみろ!? この一年、私は記憶を奪われ清く正しい偽りの学園生活を演じさせられていたんだぞ!? 一年前はゼロとしてあんなカッコイイ日々を送っていた、この、私が!! いいか、一年だ! 一年も我慢してたんだし少しくらいサービスしてくれたっていいじゃないか!!」
 魂の叫びだった。
 流石はディートハルトをして『童貞―カオス―の権化』と言わしめた男。記憶を取り戻した途端に津波のように押し寄せてきたあの夢のような――カレンの乳やC.C.の尻を思う存分仮面の下から視姦していた――日々を想い、ゼロは……ルルーシュは、叫んでいた。
「……あの、ゼロ?」
 ようやく我に返ったカレンに呼びかけられても、ゼロは俯き、肩を震わせながらまだブツブツと何事か呟いていた。
 しかし、それにしても……
「……バカですか?」
 そう言わざるをえない。
「ほぉあああああああっ!? ……あ、ああそうだとも! バカだとも! バカでいいとも! バカで、バカで……――」
 俯いていた顔を上げて再び叫び散らし始めたゼロを呆れたように見やると、カレンは仕方ないなぁとばかりに胸を強調するかのようなポーズをとった。
「……で」
「……ほへ?」
「これで、いい……ですか?」
 先程までよりもさらに頬が熱い。顔中、真っ赤だろう。
「カ……カレン?」
「……貴方には、日本を解放し、ブリタニアを打倒して……新しい世界を創ってもらわなくちゃ、いけ……ませんから」
 恥じらいを堪えつつ胸を突きだしてくるカレンに、ゼロは泣いた。
 仮面の下は、大洪水だった。
「う、うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
 思いっきり変なポーズをつけて喜びを顕わにしているゼロを見ていると、カレンも不思議と嫌な気分ではなかった。彼の正体が誰であれ、自分は彼についていくと一年前そう決めたのだ。その覚悟も新たに、もうちょっとサービスしてあげてもいいかな、とそう考え……
「よし! 次はウサギ狩りだ!!」
「それはダメ!」
 思わずゼロに延髄切りをぶちかましつつ、アジトの夜はふけていくのだった。





世界がゼロに跪くその日まで……つづく?






絵:寒天示現流




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