肛虐の魔法少女



◆    ◆    ◆





「よぅ、元気か隊長さん達?」
 扉が開き、薄暗い部屋に僅かな光が差し込んでくる。
 男の声に、なのはとフェイトは呻き声だけで返した。
「ん、ぐぅ、むぐぅ」
「ふぅっ、んっぐぅ!」
「おいおい、ちゃんと人間様にもわかる言葉で喋ってくれよ」
 男はニヤニヤと二人を小馬鹿にした笑みを浮かべた。
 二人が喋れないよう、ボールギャグを噛ませたのは他ならぬ彼だ。
 部屋には強力なAMFが張り巡らされ、なのはもフェイトももはや抵抗する術など何一つ残されてはいない。
「しかしあの機動六課の隊長様も、チョロいもんだな。人質とられた途端、あっさりとデバイス捨てて投降するなんざ、拍子抜けもいいとこだ」
 人質、のところで二人は殺意を込めた視線を男に向けた。
 そう。
 人造魔導師開発に関わる人身売買組織を追い詰める中、彼女達は思わぬ不覚を取った。スターズ、ライトニング両隊は分断され、なのはとフェイトともう一人、エリオを含めた三人は敵陣に取り残される形となってしまったのだ。
 たとえAMFが張り巡らされた空間であっても、なのはとフェイト程の魔力と技量があれば脱出は不可能ではなかった。が、まだまだ未熟なエリオにまでそれを求めるのは酷というもの。
 結果、エリオは連中に囚われ、彼を人質にされた二人は……要求を呑んだ。
「クックク。どうせ、捕まっても簡単に人質取り替えして脱出できるとか考えてたんだろうが、いくら伝説的なエースだからってそういつもいつもハッピーエンドが待ってるだなんて考えて貰っちゃ困るぜ」
「ふぐぅっ! ぎぃっ!!」
「はいはい。ブーブーうるせぇよ、ばぁか」
 捕らえられたなのはとフェイトは武装を取り上げられると、すぐさまこの部屋に放り込まれ、全身を拘束された。その上で、この強烈なAMFだ。局所に集中的に張り巡らされた多重フィールドは、圧倒的な二人の魔力をも完璧に封じ込めていた。
 そして、トドメとばかりに注射された媚薬が二人の精神を掻き乱す。
 囚われてからかれこれ二十時間。
 狂おしいまでの快感に、二人は眠ることすら許されずただ小刻みに身体を震わせていた。
 どうしようもなく気持ちがいいのに、絶頂までは至らない。
 最悪の拷問薬だ。





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「おほぉ。スゲェな、マンコもケツの穴もヒクヒクしてるぜ。品がねぇ動きだ」
 男はじっとりとねとつくような視線で下着を剥ぎ取られたなのはとフェイトの股間を視姦し、まるで蛇のように細長い舌で唇を舐めた。
 誰のせいだと――そう激昂してやりたいのに、結局は言葉にならないのがなのはは悔しかった。こんな男に……おそらくは、今から犯されるのだろう。
 なのはは、初めてだった。
 異性に肌を許したことは一度もない。
 そもそも男性と交際したことさえないのだから当たり前だ。
 ただ……脳裏を一人の青年の顔がよぎった。
 想いを伝えることもなく、彼に捧げたいと漠然と考えていた処女をこのような下劣な男の手で奪われるのだ。
 その事実がたまらなく悲しかった。
「ふぐっ、ひぐぅぅぅッ」
 隣ではフェイトが必死に藻掻いている。
 エリオの身が心配で、気が気でないのだろう。
 彼女が、十近くも年の離れた被保護者であるエリオに女として惹かれていることを、なのはは気付いていた。
 日々の葛藤も知っている。
 育ての親として、姉代わりとして、そう接してきたはずが、ままならない感情に翻弄される親友のことをなのはは案じていた。
 そんなフェイトも、今、無惨にも純血を奪われるのだ。
「……ふぅ、ひぃうぅ……ッ」
 もう一度、なのはは男を睨んだ。
「ほほぅ、この期に及んでまだそんな目が出来るとは流石だなぁ。だが、コイツを見てもまだ……出来るかな?」
「……?」
 男の身体が、数歩横にずれた。
 入口から、また別の誰かが歩いてくる。逆光で顔は見えなかったが、かなり小柄な相手のようだった。酔ってでもいるのか、フラフラと足取りが覚束ない。
「ぐぅ……」
 呻き、なのはは霞む頭を必死に振って、目を凝らした。もしかしたら、新たに入ってきた人物こそが自分達の純血を奪うことになるかも知れないのだ。そう考えると怖ろしくて仕方がない。
 同時に、その顔を確認したいとも思った。
 己の不覚が招いた結果を焼き付けたいと――それは、なのはの戦士としての性だったのかも知れない。
 もうすぐ、もうすぐどんな相手なのかが確認出来る。
 と、その時――
「むぐぅっ!? ふぅ、ふごぅっ、ぐ、ぐぅうううううっ!!」
 フェイトが突然狂ったように暴れ始めた。
「おいおい、どうした? そんなに騒ぐなよ。感動の再会なのはわかるけどよぉ」
 瞬間、なのはにも新たに入ってきた人物が何者か、ようやく確認出来た。
「……ッッ!!」
 怒りのあまり脳が沸騰しそうになるのを、必死で堪える。
 媚薬による快楽も瞬時に消し飛んでいた。
 こんな……こんな事が、許されるのだろうか。
「あ、あぁ……ふぇ、ふぇイと……サん……なのハさ、ン……う、うぃ、いあぁ」
 そこに立っていたのは、目の焦点の合わないエリオだった。
 小刻みに震えながら、口からはだらしなくヨダレを垂らし……明らかに尋常の様子ではない。
 ――何かクスリを打たれたのか、と――
 エリオが彼らに何をされたのか、今のなのはに知る術はない。
 だが、悲しかった。
 エリオも、そして、フェイトも。
 悲しすぎた。
「なんだ、高町隊長殿は思ったよりも反応が薄いな。冷たい人だねぇ」
 何とでも言えばいい。
 なのははフラつきながら自分達に手を伸ばすエリオと、すぐ隣で泣き叫んでいるフェイトを交互に見やり、再び男へと殺意の視線を向けた。
「はっはーっ! もしかして、怒ったのか? そう怖い顔するなよ、なのはさん。そんなんじゃ、せっかくその気になってるエリオ君も萎えちまうぜ?」

 ――男が何を言ったのか、咄嗟には理解出来なかった。

「……ふ、ふぇ?」
 理解出来ぬまま、なのははエリオのことをよくと見た。
 じっくりと、全身を観察し――今度こそ完全に、言葉を失う。
「はは。凄いだろう?」
 エリオの、少年の股間で、おぞましいソレは激しく憤っていた。
「クローン技術で生み出された彼に、我々の技術で贈ったプレゼントだ」
 猛り、波打ち、反り返ったソレは、エリオの胸にまで届かんばかりに長大で、生々しく幾筋もの血管が浮き出て脈打っている。
 男性器。
 知識では知っているが、見るのは初めてだ。
 初めてだったが、エリオのソレがどれだけ異常であるかは嫌でもわかった。
 あれが、あんなものがあの可愛らしく素直で純朴な少年の股間から生えているだなんてどうして信じられるだろう。
 しかしそれ以上に、まともでない最大の理由はその本数だ。
「ふ、くぅ……ぐう」
 なのはの視線の先でそそり勃つ淫欲の塊は……
 二本。
 エリオの股間からは、黒々とした男性器が左右二本、生えていた。
「彼のチンポは凄いぞぉ? サイズもそうだが、二本あると言うことはつまり――お前達を、二人同時に可愛がれるってコトだ」
 何がそんなに可笑しいのか、男は大声をあげて笑い出した。
「ひぅぐっ、もがぁっ、……ぐぅ、ぐむぅううううっ!!」
 フェイトが泣きながら頭を振っている。
 その間にも、エリオはゆっくりと、しかし確実に二人へと歩み寄っていた。
 無気力な手は何かを求めるように宙を彷徨い、ヨダレを垂れ流す口はフェイトとなのはの名を呼び続けていた。
 なのはは……不思議と、冷静だった。
 冷静に、受け入れていた。
 エリオとフェイトが悲しすぎたからかも知れない。
 男への憎悪が激しすぎたからかも知れない。
 ともあれ、自分の純血を奪うのが敵に操られたエリオだと言うのなら……受け入れるしかないのだろうと、なのははそう考えていた。
 その、一瞬までは――
「ふぎぃいいいっ!!?」
 激痛が走った。
 戦闘で与えられる類の痛みではない。
 正体不明、未知の激痛。
 またもなのはの頭脳は理解不能に陥っていた。
 ミシミシと、本来なら通るはずのないサイズ差を無理矢理に押し通そうとする歪んだ音が、はっきりと聞こえてくる。
「むぐっ、ひぃ、ふぐぅっ!!?」
 チラと隣を見ると、フェイトも目を白黒させていた。
 あまりにも予想外。
 なのはの拙い性知識を、常識を覆す行為。
「ぐ、ぐむぅっ、ふ、げふっ、ごぶ、ひゅぅっっ!!」
 裂ける。
 裂けてしまう。
 エリオの猛りきった肉棒は、あろうことかなのはとフェイトの肛門を貫いていた。





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 虚ろな目をしたまま、エリオがグイグイと腰を前に押し出す。
「ぐっ……ぎぃ、ひぅ、ぶ、ぶぶぅ……ぶがぁぇっ! ぎ、ぎぃげぇえ……ッッ」
 股間から滴る愛液がなければ、今頃は血塗れだったろう。第一、本来なら男性器を挿入するような場所ではないところに、通常のソレを遥かに超えるサイズのものを深々と無理矢理ぶち込もうというのだ。
 媚薬によって弛緩していたことと、愛液が股間を伝って菊周りまで達していたこと、そしてエリオの射精と見まごうばかりの先走りの量が不可能をかろうじて可能にしていた。
「本当にブタみてぇだなぁ、隊長さん」
「ぶ、ぎゃっ、ぎぃ、げぇえ……っ」
 最早男を睨んでいるような余裕すら無い。
「あっ、あっ、あ、ああ……ふぇ、ふぇーと、さ……なのふぁ、さ、んんぅ……ッ!」
「ぶぐぅうううッッ!!?」
 ついに、これ以上奧までは入らない、限界ギリギリの位置までエリオの剛直が到達する。パンパンに膨らんだ亀頭が直腸を圧迫し、なのはは猛烈な吐き気に襲われた。けれどギャグが邪魔で嘔吐なんて出来そうもなかった。
 逆流する胃液が喉、そして鼻に流れ込み、苦しくて、辛くてたまらない。
「げぇ、げふっ、ぶ、ぶぎぇええええええっっ、えっ、ええっおぶぇっえげぇッッ」
「はっはははははは! なんだその声は? 笑わせてくれるなぁ、おい」
 男の嘲笑なんて気にしている場合ではなかった。
 ようやく奧まで辿り着いた剛直を、エリオが勢いよく抜き、再び、突き込む。
「ぎゃふぅうううっ!!?」
 腹が弾けるかと思った。
 重く、深く、未知の感触が、衝撃が――腹部を圧迫する。
 ミチミチと腸内を圧迫するエリオの脈動が、血管の動き一つ一つに至るまで感じ取れる事の気持ち悪さ。
「がっ、……こっ……は、はぐっ、ぐ、は、……はぁっ……ッ」
 さらに激しくエリオは腰を動かしていた。
 彼が現在何を考えているのか、そもそも考えることが出来るだけの理性が残されているのかはなのはにはわからなかった。
 けれど、一つだけ確かなことがある。
 熱く滾るエリオの怒張が直腸を貫き剔るたびに、思い知らされる。
 少年が、男なのだと。
 そう思い至った途端、なのはは苦しみに耐えながら首を横に向けた。
 フェイトはどうしているだろう。
 エリオに肛門を深々と貫かれ、彼女はどんな顔をしているのだろう。
 それが知りたくて……
「ぴぎぃっっ!? げぶっ、ぶぎゅぅっ、ぐっぷ……、ぼほぇええっ、ぎひゅぅ!? ふひゅぅ……っ」
 フェイトはまだ頭を振り続けていた。
 まるで今すぐにもこの現実から逃げ出したいとばかりに。
 それは、そうだろう。
 あまりにも恋に幼かった彼女が、密かに想い慕っていた年下の騎士。そんな相手が、今、肛門を激しく突いているのだ。
 理性もなく、当然そこには愛など欠片も存在せず――本能のままにより強く快楽を得ようと腰を振るっているのだ。
「ぶぶっ、ぐ、ぐぷぅ……ぐぽぁ……っ」
 フェイトの頬を涙が伝った。
 痛みや苦しみからのものではあるまい。
 それと同時に、エリオの滾りに滾った肉棒が二人の体内で熱く震えていた。





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「ぶごぉおおおおっ!!? ご、ごぶっ、ごひゅぅふうぅうううううッッ」
 熱い。
 熱い何かが溢れていく。
 尻穴の中をマグマのような何かが弾け、流れ、満たしていく。
 エリオの肉は、まだ大きく波打っていた。
 波打つたびにエリオ自身の元へと帰ろうとするかのように、なのはとフェイトの腸内を打つ。
 ゴポリ、と泡立つような鈍い音がして、肛門から精液が溢れ出していくのがわかった。
「……う、うぅ……ふぐぅ……っ」
 まるで排泄と同じだ。
 羞恥のあまり、なのはは顔を伏せた。
 一方、フェイトは焦点の合わない目で虚空を見つめている。彼女の心はいまだこの現実を直視することを拒否しているのだろう。
 エリオの男根が小刻みに震えるたび、なのはとフェイトの身体もビクンと跳ねた。
 呼吸さえままならないところも含め、釣り上げられた魚のようだ。
「お、ごぉ……ご、ばぁ……ん、ぶぅ……」
 それにしても――
「……ふ、ぐふぅ……う……?」
 いつまで続くのだろう。
 エリオの剛直は一向に萎える気配がない。
 なのはの乏しい性知識では、男性の生殖器は一度ないし二度の射精で大人しくなってしまうはずだった。なのにエリオのソレは二本とも収まる様子が見られない。
「ふ、ぐ……うぅ?」
「……あ、あぁ……ふぇいとさんんぅ……なのは、さぁん……ぼ、ぼく……お、かし……あ、おぁあ……――ッ」
「ごッッ!!?」
 油断したところに、今までになく重たい一撃が腸の最奧を打ち抜いていた。
 内臓がひっくり返りそうな衝撃になのはの呼吸が完全に止まる。
 白目を剥いて満足に動かない口をパクパクさせているなのはとフェイトのことなどお構いなしに、エリオはもっと奧を目指すかのように肉棒を強く強く打ちつけた。
「ごぶふぅっ!!? げはっ、がぁふぅあああああっ!!!」
 手負いの獣のような絶叫が室内に響き渡る。
 それは果たしてなのはのものであったのか、フェイトのものであったのか。それとも……二人同時に発したものだったのか。
「うへぇ……ここまで酷ぇと流石の俺もドン引きするぜ」
 そう言うと、男はニタニタ笑いながら近くにあった椅子を引き寄せ、腰掛けた。
「言い忘れてたが、隊長さん。今のエリオ君なぁ、すっごい量のザー汁がキンタマに溜まってるんだ。それこそリットル単位で」
「ほが、ほげぁあああああっ!!」
 男の言う通り、エリオの先端からは精液が溢れ出し続けていた。勢いこそ射精時に劣るものの、蛇口を閉め損ねた水道のようにちょろちょろと、しかし確実になのはとフェイトの腸内を精液が満たしていく。
 もう、限界だ。
 このままでは腹が水風船のように膨れてしまう。
「んげっ、おっご、げっ、げぶぅ、んげぇえええええええッッ!!?」
「んー、聞こえてねぇか? まぁいいか。俺は三人の愛の営みをここでじっくり観察させていただくとするかね」
 獣の、否、獣以下の交わりを続ける三人に半ば呆れたような視線を送りつつ、男は懐から煙草を取り出した。
 悪夢はまだ始まったばかりなのだ。



 ■■■



 どのくらい時間が経ったのだろう。
「ほ……ほぉおおお……ほごぅ、おほぉっっ」
「ひぐ、ひげぇ……ぐぷっ、う、げぇえ……」
 ちょっとでも突けばはち切れそうなくらいパンパンに――
 まるで妊婦のように腹を膨らませたなのはとフェイトの尻穴を、エリオは途切れることなく犯し続けていた。





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 そこにはもはや射精という概念すら無い。
 ただ腰を振り、先端から精液を直腸内に垂れ流していく……
 満たすためだけの行為。
 性欲を満たし、しかし満たされず、ただ腹の中が精液でひたすら溢れかえっていく地獄のような時間。
「ほ……ひ、へ……ぶ、ぶふぁ……」
 一体いつ、終わるのだろう。
 朦朧とする意識で、なのははぼんやりと考えていた。
 身体はとうに快楽の虜となっている。
 媚薬によって昂まった肉体は、尻穴を用いての性交に感じまくっていた。
 気持ちいい。
 まだ処女なのに、好きな人に抱かれたこともないのに、なのはは何度も絶頂を向かえていた。
 少年の猛りきった肉棒で、尻の穴を剔られて、豚のように喘いでしまっている自分を憐れむ余裕さえ無い。
 今も入口の皺がピクピクと痙攣している。
 フェイトも同様だろう。それどころか彼女は今、幸福さえ感じているのではないか。
「ひっ、ひゃぅんっ! ほひょ、ひほぃいいいっ! あ……ぶぶ、おぼぁっ♪」
 目の焦点が合ってないのは相変わらずだが、眉や口元の微細な動きから、なのはは親友が笑みを浮かべていることに気付いていた。
 少なくとも、フェイトはなのはとは違い好きな相手に抱かれているのだ。
 それがどんなに不自然な交わりであっても、むしろ不自然だからこそ彼女の欲求は果たされているのかも知れなかった。
「ふぇい、と……さ……あ、ああ……ぼく、の……ふぇいとさぁんん……」
 エリオもまた、同様に。
 本来の彼の性格ならまず絶対に果たされることのない、憧れの女性との交わり。理性を消され、精神をグチャグチャに破壊されても、彼の中でのフェイトへの想いは生きているということだろうか。
「……ぐ、ふぅ……む、く、けふっ」
 では、自分は何なのだろう。
 快感に疼く尻穴をよじりながら、なのはは考えた。
 考えたけれど……答えなんて、出るはずもない。
「が、ああ……あがぁっ」
 エリオの先端から、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらい吐き出され続けてきた精液が、またまとまって大量に噴き出してくるのをなのはは感じていた。
「ひぐぅうううううううううっ!!」
「いひぁああああああああああっっ!!!」





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 火山の噴火のようだ。
 二人もまた、同時に激しく達する。
 腹の中が熱い。
 ――そこで、なのはは急激にある感覚を覚えた。
「おぶぐぅうううっ!?」
「……おっ?」
 それまで無言で三人の交わりを見ていた男が、愉しげに口を歪めていた。
「なのは隊長殿……何かありましたかね?」
 ただ毛卑ただけの男ではない。
 なのはとフェイトを人質を用いてとは言え捕らえた手際と言い、この男の鋭さには侮れないものがある。
 今もなのはの微妙な表情の変化から、何事か察したのだろう。
「ふ、ひひ……ククク! なにか、なにか我慢してるようですなぁ」
 ――そう、なのはは耐えていた。
 腹の中を精液で満たされた結果、そこでは“あるもの”と精液が混ざり合い、グルグルと渦を巻いている。
 不規則な生活が原因となってか、なのはは通じの悪くなることが少なくなかった。ここ数日もどうにも溜まり気味で……腹部にしこりを感じていたものが、今、腹の中で煮え立っている。
「ぶぐぅううっ!!」
 涙目になってなのはは訴えた。
 どんな要求でも呑む。
 プライドなんてかなぐり捨てて、男の奴隷になっても構わない。
 だから――
「ぐぅ、ぐむぅううううっ!!」
 ――お願いします、と。
 なのはは視線で懇願し……
「……はぁ?」
「ふぎゅっ!?」
 絶望した。
 男の目は全てを理解した上で、なのはを嘲っていた。
 なのはが今、何もかもを捨ててまで懇願しようとしていた内容すらおそらくは看破し、その上で、嗤っていた。
「な〜にを言いたいのか、さっぱりわからねぇなぁ隊長さんよぉ」
「ひゅぐぅうううううううっ!!!」
 エリオの動きがまたも活発になる。
 今揺らされると不味い。
 ほんの僅かな衝撃が、地獄の苦しみとなってなのはの精神と腹とを攻め立てていた。
「ごぼ、ごぶぉああああああっ!!」
 エリオ、やめて――と。
 お願いだからやめてとなのはは必死に叫んでいた。
 でも、叫んでも何も伝わらない。伝わりようがない。
「はぷぅ……ひ、ひへ……ひゃへぇ」
 隣では、フェイトも不自然に腹を動かしていた。
 そう言えば彼女もここ最近調子が悪いと言っていた覚えがある。
 このままでは、駄目だ。
 見られてしまう。
 犯されて感じる痴態などよりも遙かに恥ずべき姿を――誰にも見られたくない、決して見せてはならない姿を……あの唾棄すべき男と、エリオに。
「おやおや。苦しそうだなぁお二人とも。なぁ、エリオ君。二人のこと、心配だなぁ?」
 男の声が聞こえているのか、エリオが僅かに頷いたかのように見えた。
「ん〜? なんだかお腹が苦しいみたいだぞォ。……おやぁ、ポンポコに膨らんじゃって、コレは大変だぁっ」
 わざとらしいにも程がある。
 大仰に手を広げ、なのはとフェイトを睥睨した男は……エリオに、命じた。
「よぉし。それじゃ優しいエリオ君。心残りはあるかも知れないが、お二人のケツマンコからチンポを抜いてさしあげなさい」
「ひぐぇっ!?」
 なんてことを――今急に抜かれたりしたら、なのはには耐えきる自信は無かった。それでも快楽と疲労で緩んだ括約筋を懸命に締め上げて、来るべき瞬間に備える。
「あ、あばぁああああっ」
 狂った顔に一抹の寂しさを浮かべて、エリオが腰を引く。
「ぷぎゅぅううううううううっ!!?」
 腹の中のモノが全て引っこ抜かれるような、そんな感触だった。
 内蔵から何から全てが尻の穴から抜け出ていきそうで……苦しい。苦しいのに、気持ちよさもある。
「んぐっ! んぐぶぅううううっ!!」
 それでも耐えた。
 なのはは耐えた。
 ピクピクと震える菊門に全身全霊を注ぎ……堪えた。
 堪えきった、瞬間だった。
「ほぉ。まだ苦しそうだから……エリオ君。二人のお腹を、さすってあげなさい」
「ぎぃっ!!!?」
 ――小さくて、温かな……優しい、エリオの手だった。





◆    ◆    ◆
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 鼓膜を破ってでもあらゆる音を抹消したい――切実に、なのはは思った。
 なんて音なのだろう。
 恥辱、なんて言葉では到底語り尽くせない。
 出ていく。
 腹の中で精液と混ざり合ったそれ――高町なのはの溜まりに溜まった糞便――が、凄まじい勢いで噴き、捻り出されていく。
 悪夢だった。
 汚らしい水音が辺りに響き、エリオの全身がなのはとフェイトの糞にまみれていく。
 止まれ。
 止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ――お願いだから止まってください、と。なのはは、切に願った。
 けれど止まらない。
 エリオは糞まみれになりながら、それでも丹念に二人の腹をさすっていた。
 いたわるように。ゆっくりと。
「あ、あぁ……が、ぁ……ふぇい、と、さ……ん……な、のはぁ……さんぅ……」
 嫌だ。
 こんな、最悪の現実。
「おわぁ……派手に出たなぁ。ってかまだ出続けてるじゃねぇか」
 男の言う通りだ。
 なのはとフェイトの腹は、パンパンに膨らんでいた分全てを放出するまで排泄を止める様子がなかった。
 半液状の糞便が勢いよく噴き出し続けているのを、男は満足げに眺めている。
「くせぇ。はは……美人が台無しだなぁ、おい。涙と鼻水で顔面グショグショ。下半身は愛液と精液、そんでもって糞まみれときたもんだ」
 殺してやりたい――たとえどのような凶悪犯が相手であっても、心の底からそう思ったのは、なのはは初めてだった。
 殺すのがかなわないのなら、舌を噛み切って死んでやりたい。……けれど、それすらかなわない。
 今のなのはに出来ることは、ただひたすら無様に糞を垂れ流すことのみだ。
「ひっぐ……ぐ、ぐすぅ……ぐ、ぐぶっ、ふぐぅ……ッ」
 悲しくて、情けなくて、涙が止まらなかった。
「どれ。エリオ君、お腹ばかりさすってないで、今度はお尻の穴をさすってあげるといい」
 どこまで辱めれば気が済むのだろう。
 無気力になのははエリオを見下ろした。
 男に言われるまま、エリオの手がなのはとフェイトの尻に伸びる。
 まだ糞が出続けている尻を、エリオは嫌悪する素振りも見せずに撫で始めた。
 身をよじって逃げようとするも当然かなわず、なのはは彼のされるがままに尻を優しくさすられ、奇妙な快楽に身悶えた。
「ひゅ、きゅう……ひゃふっ、けひっ♪」
 すぐ隣ではフェイトが心地よさそうに身悶えていた。
 堕ちていた。
 綺麗だった親友のココロは、きっと壊れ果ててしまったのだ。なのはは、そう悟った。
「おやおや。またそんなに泣いちまってまぁ……エリオ君、二人の顔を拭いてあげるといい。きっと悦ぶぞぉ」
 尻を撫で、糞がこびりついた手でエリオは二人の目尻や頬を拭った。
 なのはの顔が、フェイトの顔が、それぞれのひり出した自身の糞便によって汚されていく――





◆    ◆    ◆
◆    ◆    ◆





「ようやく全部出し終わったか」
 目を剥いて弱々しく痙攣する二人を見下ろし、男はつまらなそうに呟いていた。
 悪臭が部屋中に漂っていて、胸がムカムカする。
 けれど、この二人はもうそんなニオイのことなど気にしてもいないだろう。
 少なくとも、フェイトは完全に壊れていた。
 なのはも……もう、元の彼女に戻ることはないだろう。
「フフ……伝説のエースと言ったところで他愛もねぇやな」
 二人の糞便にまみれて倒れているエリオを靴の先で小突きながら、男は小さく溜息を吐いた。
「このガキは、もう駄目かもなぁ。まぁ無茶な改造だったし、仕方ねぇか」
 エリオはピクリとも動かない。
 ただその股間だけはまだ勃起したままだった。
 それだけが、少年が生きている証だった。
「どーれ。まぁ、生きてりゃそのうち起き出して、またおっ始めるだろ」
 三人に背を向け、男はゆっくりとその場を後にした。
 あと三日も放っておけば完璧だろう。
 堕ちるところまで堕ちた管理局の美しきエース二人……世を賑わすには充分すぎる話題だ。
 扉が閉められる。
 僅かな灯りさえない部屋の中で、なのはの頬を、一筋の涙が伝った。





―了―   






絵:寒天示現流




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