大回転フェイト
〜Turn フェイトさん〜
その2


元はコレ↑



◆    ◆    ◆





フェイトさん・イン・真夜中のミッション



「……抜き足、差し足……フフ。なのはにもシグナムにも気付かれないようにエリオの部屋に侵入成功っ!」
「……zzz……んー、フリードがー……GONG唄って……む〜……」
「起こさないように、起こさないように。……フ、フフ。え〜りお〜……♪」


 バタンッ!


「そこまでだテスタロッサ!」
「フェイトちゃん……ストーキングは愛だけどレイプは犯罪だよ!」
「うぇっ!? なのはにシグナムッ!? ちょ、違うよ! 誤解だよ、私レイプなんて――」
「じゃあどうしてエリオの布団を捲り上げて……あれ?」
「うむ。捲り上げて下半身に手を……む、テスタロッサ。その手にしたルーペはなんだ?」
「え? あ、こ、これは――」
「……zzz……う〜ん……フェイト、さん……むにゃ……」





「……エリオにスネ毛が生えてないかどうかね、チェックしてただけなんだよ? ホントに。あとレイプは犯罪だけど夜這いは地域に根ざした男女間の伝統的な文化交流だよ、なのは、シグナム」
「だから許せ、とでも?」
「……いえ、その……だからせめて次元断層に宙吊りは、許して欲しいかなぁ……なんて……ああっ、揺らさないで落ちるよ怖いよッ!? アーッ!」





◆    ◆    ◆





フェイトさん、毛根と戦う編〜序奏〜



「そもそもフェイトちゃんはエリオにスネ毛とか生えたらどうするつもりなの?」
「え? 根絶やしにするよ?」
「素面で即答とかマジありえないの……」
「七年前には失敗したけどね。でも、あれから修練に修練を積んで、遂に私は電気的ショックで毛根を死滅させる魔法を編み出すことに成功したんだよ! 毛根なんて怖るるに足らずだよ、なのは!」



「ちなみに、七年前の失敗って誰相手に?」
「ユーノ。……って、はっ!?」
「……フェイトちゃん。ちょっと次元の海にでも行こうか」
「ちょ、ちが、なのはっ、アーーーーーーーーッ!!!!?」





◆    ◆    ◆





毛……はやての場合



「う〜ん。むしろ毛があってこそやと思うんやけどなぁ」
「いや、真面目な顔で唸るなよ……」
「そやけど、こそばゆかったりして結構気持ちええんよ? あ、でもヴィータ。わたしのゲンヤさんで試したりとかしたらあかんよ?」
「試さねーよ!!」



「まぁヴィータは永遠にパイパンやし、わからんかもね毛の魅力は」
「マジうるっせーですよコンチクショーッ!!?」





◆    ◆    ◆





フェイトさん弁護不能



「えー、実は残念なお知らせがありますー。昨夜、男子寮からエリオのパンツが盗まれたんやー。と言うわけでフェイトちゃんとっとと自首してなー」
「いきなり犯人扱いなんて酷いよ!? 弁護士を呼んでー!」
「フェイトちゃんは十年前のジュエルシード事件で弁護士使用回数を使い切っちゃってるの。残機0なの」
「ミッドチルダの弁護士は残機制だったなんて初耳だよなのは!? いやぁああああああコンティニューを要求するぅうううううう!!」



「あーっ! フリード、なんで僕のパンツはいてるのさ!?」
《よぉ、エリオ。借りてるぜ?》(CV:影山ヒロノブ)
「無い無いと思ってたら……うわっ、ゴム伸びちゃってるし!」
《いやぁ、オレってよくよく考えたらいつも全裸じゃねーか。猥褻物陳列罪で捕まったら困るからよぉ》(CV:影山ヒロノブ)
「そんなバカな……」





◆    ◆    ◆





フェイトさん盗まれる



「そんなわけで今回は私のパンツが盗まれたんだよなのは、シグナム! 犯人はエ――」
「――リオのワケないよね」
「うむ。エリオが貴様のパンツを盗むなんて考えられん」
「なんで!? 思春期の少年が憧れの女性のパンツ盗んでクンカクンカしちゃうくらい普通だよ!? もっと可能性考慮しようよ!?」
「にゃはは。ねーよ」
「あるわけなかろう」
「うわぁあああーーーーーーーんっ!!?」



「うわっ! キャロ……じゃなかった華狼、なんてパンツはいてるの!?」
「……決戦装備」
「決戦装備って……」
「我は、護りし者だから……」
《これぞ華狼のソウルメタルだぜ!》(CV:影山ヒロノブ)
「……はぁ。いい加減元のキャロに戻ってくれないかなぁ……」
「……闇に、光を」





◆    ◆    ◆





風の名はフェイトさん



「そんなワケで今日はスースーしてるんだよ」
「バカがまたバカなことを言ってるの……」
「だって盗まれちゃったんだから仕方ないよ。無い袖は振れず、無いパンツははけず、ナイファンチは空手の型……」
「いや、はけよ。一枚しかないワケじゃないでしょ」
「全部洗濯しちゃったんだよ。さっき」
「……」
「あー。偶然エリオが通りかからないかなぁ。そしてその時一陣の風が吹かないかなぁ」



「……フェイトちゃんはその風で記憶を失った方が良いよ」
「アムネジアはイヤだよ!?」





◆    ◆    ◆





正月はもう終わったよフェイトさん



「……はぁ」
「どうしたのフェイトちゃん? 正月からこっちずっと喉に餅詰まらせたような顔して」
「詰まってないよ!? 詰まらせたこともないよ!」
「じゃあどうしたの」
「うん。実はね、コレ」
「お年玉袋じゃない。……え? くれるの?」
「なのはにお年玉あげてどうするの。コレはエリオのために用意したんだよ」
「ために用意したって……お正月とっくに終わってるし」
「うん。エリオ、もう自分でお給料稼いでるわけだし、お小遣いあげると嫌がるんだよ。だから中身で悩んでて――」
「フェイトちゃんのパンツなんて入れても喜ばないと思うよ」
「ッ!」
「ブラも却下」
「ッッ!?」
「ってかお金以外却下」
「なのはは私にどうしろって言うの!?」



「……いや、お年玉あげようよ」
「玉をアゲたら棒でお返しとかないものかなぁ」
「ねーよ」





◆    ◆    ◆





新年の抱負だよフェイトさん



「今年は真面目に生きていくよ!」
「藪から棒過ぎるよフェイトちゃん。ってかムリだよムリ」
「新年早々私の決意を挫かないでマイフレンドッ!?」
「じゃあアレね。エリオに余計なちょっかい出しちゃ駄目だよ」
「……はんっ。なのははすぐ全力全開で無茶ばかり言う」
「え? あれ? 今、わたし鼻で笑われた? なんで?」
「さぁ、今年も真面目にエリオに迫るよ!」



「……あの、シグナムさん」
「なんだ?」
「撃っていいですよね?」
「うん」





◆    ◆    ◆





秘め始めだよフェイトさん



「フフ……今夜はなのはもシグナムも新年会で酔いつぶれてしまって起きてくるはずもない。ゆっくりと、しかし確実にエリオの部屋に侵入し目的を果たさせて貰うよ! ……って、何も無いと逆に不安になってくるね」
「zzzz……むにゃ……」
「ああ、エリオ……なんて美味しそうな寝顔……こ、これは……うん、仕方ないよね? 自制心とかそんな虚しさ抱く鎧は脱ぎ捨てよう勇気だけの素肌で!」
「……むにゅ……」
「今は前だけ見ればいい! 信じるコトを信じればいい! 愛も絶望も羽根になり不死なる翼へと、蘇れ私の鼓動! そして、そして! 限りない未来へ……アーーーーーーーーーッ!!!!!」
「にゃふぅ……ん、ん……フェイト、さん……」
「ッ!?」
「……むにゃ……今年も、よろしくお願いします……ん……フェイト、さん……」
「……」



「……ふぁ〜あ。昨夜は飲み過ぎちゃったなぁ……って、どうしたのフェイトちゃん? 部屋の隅で体育座りなんかして」
「私は今でも弱いままで……」
「へ?」
「光の剣を……抜けなかったよ……なのは……」
「何言ってるの???」
「……シクシク」





◆    ◆    ◆





なのはさん過労事情



「突然ですがはやてちゃんにお願いがあります」
「へ? どったん、なのはちゃん。改まって」
「産休をとりたいのでとらせてください。出来れば三年くらい」
「あー、おやすみ? うん、ええよー。まぁ年明けからずっと働かせてもうたし一日くらいここらで溜まった有休消化してもらわ――はい?」
「やった! じゃあ明日から早速休みに……」
「待ってや!? 産休て! しかも三年て! 六課解散しとるやないの!? ってか誰の子や!?」
「やだなぁ、ユーノ君に決まってるよ。実は今日で二日も生理が遅れてて――」
「二日遅れたくらいで妊娠とか何言うとるん!? ちょっ、何があったんやなのはちゃん!?」
「……休みたいんです」
「うっ」
「まとまったお休みが欲しいんです。ユーノ君とヴィヴィオと三人で家族の時間を満喫できる時間が欲しいんです。休みの日なのにいきなり電話がかかってきて出撃するような、そんな慌ただしさのない休みが欲しいんです」



「……さ、三年やのうて三日なら」
「ふざけるのも大概にするの。わたしもシグナムさんくらい自由に休みたいの」
「バカな!? 私は休んでいるのではなく自宅を警備したりテスタロッサを見張ってるだけだ!」





◆    ◆    ◆





フェイトさん過労事情



「突然ですがはやてにお願いがあります」
「産休が欲しいとかたわけた事言うつもりならその前にまず処女捨ててから出直して来いや」



「なのはぁっ!! はやてがわたしを虐めるんだよぉおーーーっ!!」
「いや、どう考えてもはやてちゃんが正しいの」
「ちょっ! 親友にもあっさり見捨てられわたし孤立無援すぎるよ!?」
「何を今さら……」





◆    ◆    ◆





はやてさん過労事情



「……で、わたしは誰に産休とりたい言えばええんかなぁスバル」
「いや、あたしに言われても困りますよ」
「だってわたしが産休とるー言うたらアレやで? わたしのお腹がぽんぽこぽーんと膨らんで、スバルに妹か弟出来るー言うことよ?」
「な、生々しいからやめてくださいよ!?」





◆    ◆    ◆





シグナムさん過労事情



「休みます」
「ああ、うん。ええよー」





「……なぁ、ヴィータ。もしかして、私は主に必要とされていないのではないだろうか?」
「いや、悩むくらいなら働けよ」





◆    ◆    ◆





大人の事情ですよフェイトさん



「フフ。エ〜リオ」
「あ、フェイトさんおはようございま――……す……、ぃ、あ、ぇ……?」
「あら? どうしたのエリオ」
「い、いいいえいえいえいえいえいえっ!? な、何でもないんです何でも!!」
「クス。変なエリオ。……それじゃ今日も一日、がんばろっか。私、先に行くからね?」
「は、ははははっはい!!? ……ど、どうしたんだろう。今日のフェイトさん、いつにも増して綺麗だ……」



「……く、くく……くくく、あーーーっはっはっは! 成功! 上手くいったよ! 流石私! フェイト・ザ・グレート!!」
「……フェイトちゃん、高笑いの仕方が悪役みたいだよ」
「フフ。これぞテスタロッサ流忍法『作画修正の術』!」
「うっわ超微妙〜……」
「この忍法によって美人度が150%アップ(当社比)した私にエリオメロメロ! これでエンディングも間近だよ!」
「そうかなぁ……試しにホラ、わたしのコトよく見てみるといいよ」
「へ? ……あ、あぁああっ!? なのはがなんか場面にそぐわぬ適当なロリ顔になってる!?」
「……修正すればいいって話じゃないんだよ、フェイトちゃん。フェイトちゃんだって、ほら」
「え……あ、わ、私まで微妙にのっぺりしたロリ顔にっ!?」
「フフ。作画修正の術、敗れたり」
「いやぁああああああああっ!!?」





◆    ◆    ◆





大人の事情ですよ数の子さん



「う、うぅ……」
「セッテが泣いてる!」
「どうしたッスかセッテ!?」
「う、ぐす……ノーヴェ……ウェンディ。……見てください」
「お、おう。……って、こりゃStSのDVD8巻じゃねぇか。あたしらも軒並み修正されてまともな作画になってるって噂の」
「うっわー超説明的ッスねぇ」
「そうです。大幅な修正で……わ、私がやられるところも、あんなコントみたいなやられ方じゃなく……」
「いや、やられ方事態はまだコントだと思うけど……」
「そうッスよねぇ」
「……え?」
「まぁあたしらのやられッぷりもコントだったけどな」
「あっはっは! まさにそうッスねぇ」
「え……? ……え? えぇ?」



「……どんなに作画が修正されたって、変わらないものは変わらないんだ。……グスン」
「……そうッス。変わり様がないッス。もはや手の施しようがないンス。……ヒック」
「ふ、二人とも!? ……私も、泣きたい……シクシク」





◆    ◆    ◆





八神さンちの作画の事情



「……わたしら、修正されるような出番すらろくにないなぁ」
「……そうですね」
「……ワオーン」
「い、いや、んなこたぁねぇよ? はやてだって、な? 随分と……え、と」
「何も頑張ってコマ送りすることないんやでヴィータ? ああ、ヴィータはええなぁ。ゆりかご内部でのあのアシュラマン怒り面みたいやった顔が可愛く修正されて……」
「……え? あ、あの。ぶっちゃけあたしはあの修正は別に嬉しくは……」
「あーええなーっ! 修正されっ子はええなぁ! 今夜は晩飯作りたくないー」
「うわーーーんはやてーーーーーごめんよぉーーーーーっ!!」



「あの、主はやて。私もそれなりに修正……」
「ああ、シグナムはええんや。ずーっと出番も見せ場もなかったし。わたしらはー仲間ー♪」
「……いえ、あ……え、ええ。もういいです」





◆    ◆    ◆





その頃の無限書庫



「なー、ユーノー」
「どうかした? アルフ」
「作画修正だってさー」
「ふーん。作画修正か……あ、そこの本とって」
「そこってどこさ?」
「別館第二千五百六十六書架のA-50698934にあるK-Y702:2268、『今夜のおかず増刊号和風あんかけハンバーグ特集』ってやつ」
「えーと、これかい?」
「あー、惜しい。それは四川風麻婆ハンバーグ特集。その左に284冊いったところ」
「はいなー。おっと、あったあった。……ところで、これ何に使う本なんだい?」
「なのはが明日の夕飯にって。彼女、最近和風洋食に凝ってるんだよ」
「へー。なるほどねぇ」
「……」
「……」
「アルフー、次は本館の選書コーナーにある……」
「あいよー」





◆    ◆    ◆





なのはさん学歴事情



「なのはママー。宿題、ここわかんないから教えてー」
「うん、いいよ。どれどれ……えーと……えー……と」
「ねぇ、どうなるの?」
「……あっ、ごめんヴィヴィオ! お風呂掃除しなくちゃ! 宿題はパパに聞いてね!」
「え? あっ――」



「……と、昨日そんなことがあったの」
「ふーん。なのは、ヴィヴィオの宿題わかんなかったんだ」
「違うんだよ!? ホントはわかるんだよ!? ただ、ほら。私達中学卒業してからずっと働きづめだったし、こう、ど忘れしちゃったって言うかー……」
「まぁ仕方ないよ。私も昨日エリオに宿題聞かれてサッパリだったし」
「それにしても、低学歴がこんなところで裏目に出るとはね」
「うん。保健体育なら幾らでもエリオに教える気まんま――すいません。振り上げた拳はどうかそのままゆっくりと下ろしていただけると助かるのですが……アーッ!!」





◆    ◆    ◆





星と雷学歴事情



「なぬ? 低学歴が恥ずかしいので休職して高校に通いたい?」
「なのなの」
「フェイフェイ」
「フェイトちゃん明らかにおかしい口癖使いなや。初耳や。……にしても、二人がそんなに中卒であることを気にしてたとは……」
「このままじゃヴィヴィオに『ママは台形の面積も求められないただの移動砲台だったんだね……元聖王超幻滅』と冷めた目で見られちゃうよっ! それは嫌だよかなり本気で!」
「私もエリオに『フェイトさんはこんなエッチなカラダしてるのにアルファベットのHすら筆記体で書けないんですね』とバカにされだばっ、ちょ、痛いよなのは!? レイジングハートで後頭部殴打しないでよ!?」
「フェイトちゃんがおバカなのはもう医者も匙を全力投球だから仕方ないとして、はやてちゃん、何とかならないかな?」
「そない無茶な……そもそもなのはちゃんとフェイトちゃんが今さらセーラー服だのブレザーだの着とったらそんなんタチの悪いコスプ――すいません。ごめんなさいホンマ許してぇなぁっ!?」





◆    ◆    ◆





数の子学歴事情



「ほぉ。六課の部隊長コンビが学歴で悩んでいというのかね」
「そのようです。やはりどれだけ美人で強くても低学歴で脳味噌ポカパマズでは色々と厳しいでしょうし」
「ミッドチルダは就業年齢が低い分教育関係に多大な問題があるからねぇ。ふむ。我が家の娘達も高校くらいは出ておいた方が良いだろうね」
「ドクター、高校も何も私達義務教育すら受けてないのですが……」
「……チンクとオットーなら何とか小学校でも大丈夫そうじゃないかね?」
「私とドゥーエ、トーレにはどうしろと?」
「クアットロやセッテ、ディエチは流石に……セインやノーヴェ、ウェンディなら無理も通りそうじゃないかね?」
「いえ、ですから――」
「ディードも巨乳小学生と言い張れば!」
「だから私達はどうしろと!?」



「……物事には諦めが肝心と言うこともあるのだね」
「うわーっ、すっげームカつきますね」





◆    ◆    ◆





遥かなる学歴の果てに



「仕方ないのでユーノ君から勉強を教えて貰うことにしたの」
「私も頑張るよ!」
「わたしもやー」
「剣は兎も角として私も些か学力には不安がありますので……」
「あ、あたしは別に勉強出来ねーワケじゃねぇからな!? 付き合いだぞただの!」
「あは、ははは……ごめんなさい。実は医務室で使ってる薬とか適当なんです」
「ワンッ!」
「ワンワンッ!」
「なのはさん達が勉強するならあたしもします! ぶっちゃけわり算わかりません!」
「……姉として、スバルに負けるわけには」
「わたしも曹長として恥ずかしくない程度には勉強するのですよ!」
「あっ、テメこのバッテンチビ、抜け駆けはずりぃぞ!?」
「この私、レジアス・ゲイズに任せていただければミッド地上の学歴問題など全て解決して――ッ!」
「我が名はゼスト……悪を断つ剣なり!」



「……僕はどうすればいいんだろうね、ランスターさん」
「すいません、スクライア先生。ノーコメントでお願いします」





◆    ◆    ◆





なのはさん六月病


「ねぇ、はやて」
「どしたんフェイトちゃん? 深刻な顔して。ダメやよ? 法律は守らな」
「私の恋を邪魔する律法など虚空の彼方へポイ捨てしちゃえばいいんだよ。……じゃなくて、なのはの様子がおかしいんだよ!」
「ふへぇ、なのはちゃんが? またなんかストレスでも溜まってんのかなぁ? う〜、お休みも増やしたし無限書庫へ用事がある時は優先させとるし、今度は何が……」
「う、うん。そのね」
「ふむふむ」



「今月に入ってからハンドバッグの中に常に婚姻届入れて歩いてるんだよ」



「……」
「え!? ちょ、なんで泣いてるのはやて!? はやて!?」
「……六月やもんなぁ。わかる、わかるよぉ、なのはちゃん……」





◆    ◆    ◆





なのはさん六月病・重症


「フェイトママ〜、タヌキおばさん〜」
「どうしたのヴィヴィオ?」
「わたし泣いてもええよね?」
「なのはママがおかしいの……」
「ッ!」
「な、何があったんや!?」



「……夜にね、一人で起きて、ずっとお手々洗ってるの。左手の薬指だけ、ず〜っと、一時間くらい」



「あかん。涙で何も見えん」
「……ヴィヴィオ、大丈夫、なのはママは大丈夫だから!」





◆    ◆    ◆





なのはさん六月病・不治


「どないしたんやシャマル、真剣な顔して」
「小じわ増えるよ? だから養母さんはいつも笑顔を絶やさない」
「え!? ……リンディ提督は流石ね。……じゃなく! 大変なんですはやてちゃん、フェイトちゃん! なのはちゃんが――」
「またか! 今度は何やの?」



「……三日程遅れていたのが来たとか言って、思いっきり舌打ちしていったんです……」



「もはや涙も枯れ果てそうや……」
「ヤることヤれてるだけ羨ましいけどね」





◆    ◆    ◆





なのはさん六月病・峠


「えー、というわけでーユーノ君」
「な、なにさ!? なんで僕突然捕まって縛られてるの!?」
「しゃーないやんか。こうして捕まえとかんと仕事仕事で満足に話も出来んからなー」
「うん、そうだね。まぁユーノは縛られてるの似合うから大丈夫だよ」
「サラッととんでもない事言わないでよ!? ……で、何なの今日は」
「何なのもへったくれもない! ユーノ君は今のなのはちゃん見て何も思わないんか!?」
「そうだよ! ぶっちゃけ病んでるよ! ヤンデレどころかサイコさん一歩手前だよ!」



「え? ……そうかなぁ。昔からなのはってあんな感じだと思うけど」



「……なんやろ。反論が……む、難しい」
「言われてみれば確かにいつも通りな気がしてくるから困るね……」





◆    ◆    ◆





なのはさん六月病・臨終


「なぁ、なのはー」
「どうしたのヴィータちゃん」
「今から式場の予約空き探したって今月中は無理だろ常識的に考えて……」
「……無理を通して道理なんて微塵粉砕するのが六課、なの」
「それに予約出来たって式自体が……うあ、泣くなよ」
「……涙じゃ、無いよ? ……うん。汗。これ、魂の汗だから。リリカルスウェット」
「もういっそ自分からプロポーズした方が早かねぇか?」



「……自分からプロポーズなんて魔法少女的にどうかなぁ、って。……そんな、安いプライドがあるから、二十歳過ぎても、少女とか名乗って、いられる、ん、だ、……よ? ……リリカル、マジカル……女の、矜持……」



「おめーのバリアブレイクは相変わらずですよ。一撃で貫通するね」
「……あ。ここ、空いてる……でも仏滅……シクシク……」





◆    ◆    ◆





〜to be Continued〜






Back to Top